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龍神と災害、夢と水と人格の話

 夢をみました。

 それは災害の発生から2週間も経たない頃のことでした。当時、私の住んでいたところは直接の被災地ではありませんでしたが、津波の襲った地域に友人がいたこともあって、私の心はひどく動揺し、深い悲しみと同時に現実感の喪失するような無音の恐怖の中にありました。

 私は木造の家屋の中に居りました。それは夢でしたが、五感がすべて揃っていて現実と区別のつかない明晰夢でした。古い木と畳の香りは湿気っていて、外では何かが激しくぶつかる音がします。部屋を囲むようにたくさんの人の気配が集まって、入れてくれ、と言わんばかりに壁を叩きます。入れるも何も一瞬の間の出来事で、壁が歪み柱が折れる光景が浮かびます。たくさんの人の気配は濁流と共に凝集していって、私の左の額の少し上のあたりに塊を成していきます。

 恐怖して目を醒ますと、私は布団の中に居りましたが、人の気配が消えません。行き先の分からない魂が幾つも来てしまったのだと思いましたが、私にはそれをどうすることも出来ません。中途半端に霊感があるものだから、うっかり呼んでしまったのかもしれません。申し訳ない、私には貴方たちをどうすることもできない、と私は意識を集中しました。鎮魂祝詞みたましづめののりとをあげているうちに、それはふっと霧散して何処かへ飛んでいきました。

 翌朝、気配のあった場所を中心に、布団の下が水浸しになっていました。布団の上側は乾いていますし、枕も衣服も濡れていません。フローリングに布団を敷いていましたから、近くに水など無いはずなのに。



 水行は私に馴染みの深い属性です。思えば其々に五行があることに、私は気付きました。私は水行で、僕は木行で、俺は火行で、私は金行で、俺は土行です。元々は一人なのでしょうけれど、役割を担って分かれていくうちに性質の差異が生じてきたのかもしれません。

 菊理媛神くくりひめのかみは私の縁深い氏神ですが、文献的には日本書紀に僅かに登場するのみですから、まことしやかに語られる「縁結びの神」というのは後世の人の装飾です。

及其与妹相闘於泉平坂也、伊奘諾尊曰、始為族悲、及思哀者、是吾之怯矣。時泉守道者白云、有言矣。曰、吾与汝已生国矣。奈何更求生乎。吾則当留此国、不可共去。是時、菊理媛神亦有白事。伊奘諾尊聞而善之。乃散去矣。

『日本書紀・異伝』より引用

 この記載にある通り、菊理媛神は伊弉諾尊イザナギ伊弉冉尊イザナミの争いを仲裁しましたが、直後に二人は永遠の別れに至っておりますから、縁結びとは性質の違うことは明らかです。

 彼女の本質は名にある通り「くくる」ことです。また口伝の中で龍神と縁の深い神であることが伝承されていて、これは私の経験とも合致します。龍神にも色々居りますが、彼女と共に在るのは水行の龍神です。すると性質や龍神との関係性から導かれる彼女の属性は、土行と考えるのが自然でしょう。

 極めて個人的な話になりますが、四柱推命で私の命式を計算すると、土行が最も強く主張してきます。これは少なからず氏神の影響があるのだと思います。土行の彼がメモリバンクの役割を担い全体を統括していることも自然な現象であるように感じます。中等度の主張をするのが水行と火行で、これは普段の私と武闘派な私の二人が表に出ていることが多いことに合致します。木行が極端に弱く、この部分は幼少期に切り離した天真爛漫な彼が担います。精神医学あるいは心理学的にはインナーチャイルドに相当する人物と分析します。彼は森林や自然を好みます。不足の気を補っているのでしょう。残る金行は女性性が担い、少し主張の弱い立場です。五行の安定化のためには酉を求めるが良かろうと解釈します。


 話が散らかって参りましたが、これは余興です。木・火・土・金・水の誰かを指名してコメントいただけますと、入れ替わって御返事させていただきます。特に指定がない場合には、いつも通り私が担当いたします。

 何の話かサッパリな方、もしご興味あらば下記リンク先もご参照いただけますと幸いです。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の傷が癒えて穏やかな日常が訪れますように。




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