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報われない覚悟
例えば恋をしたときに、それが片想いで終わることもあるでしょう。成就することもあればしないこともある。それが恋というものです。
例えば夢を叶えたいと努力を重ねていたとしても、その夢が叶わないこともあるでしょう。自分の努力は、掛けた時間は何だったのかと打ちひしがれるかもしれません。叶うかもしれないし、叶わないかもしれない。それが夢というものです。
例えば暗く悲しい日々を過ごしているときに、未来は明るいと諭す人が現れることもあるでしょう。不確定な絵空事を本物のようにみせて、凄惨な心境が好転するでしょうか。冬ならば春は訪れますが、春まで命が続く保証などありません。明るいかもしれないし、明るくないかもしれない。それが未来というものです。
過去や現在のマイナスが将来プラスに変ずるという信仰が「報われる」という表現型だと、私は考えます。多くの場合、受動的に使われる言葉であることにも留意する必要があるでしょう。
「報われる」という精神の根底には被害者意識があるのかもしれません。自分はマイナスの状態なのだから、いつか揺れ戻しのようにプラスがやってくるはずだ、そうでなければ不公平だ…という思考です。言い換えると現在のマイナスを黙認するような、現在を蔑ろにする思考が「報われる」の背景に垣間見えるのです。
報われない覚悟があるとき、人生は輝きます。
いつか報われるための努力は、ただの苦行です。苦行は長続きしませんから、因って報われることもありません。因果応報を成すならば、今に集中することが肝要です。然らば未来の為よりも、今の為に生きるのがいい。
報われなくてもいいか?
その問い掛けに頷ける物事を、私の好きと表現します。
私の交流する人たちを、医術や占術という生業を、こうして文章を書くことを、私はどうしようもなく好いているのです。好きなことは自然と続きます。だから私は今日も誰かの為に、貴方の為に、思考を巡らし言葉を探します。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の哀しみを宵闇に溶かして幸せな夜が訪れますように。
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#卒業のことば #報われない覚悟
#いびつでもいい #今日も照らし続けるよ #最後に気づいてもらえなくても
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