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祓ひ清め給ふもの

 その日、仕事を終えて息子を迎え娘を迎え自宅に向かう途中、車内のアラートが点灯しました。どうしたことかと停車できる場所を探す僅かの間に、走行音が鈍く響きます。商業施設の駐車場に停まると、原因が判明しました。

 前輪がパンクしてやがるぜ。

 去年もそんなことがあったような。オーケー、やることは分かってる。ただし前回との違いは、バーストしてないってこと、周囲は安全だってこと、それから今月納車したばかりの新車だってことさ。

 私はロードサービスに助けを求め、速やかにディーラーにも電話します。なぁ店長さんよ、コレどうしたらいい?と。JAF到着まで70分と聞いた私は、とりあえずパンクした前輪の前に子供たちを誘導し、記念撮影をしました。

 パンクしたタイヤの心情を全身で表現する息子と、シュワシュワと潰れるサマを顔芸で表現する娘に癒されながら、何か食べようと決めます。

 妻を召喚しラーメン屋を経て、彼女らには先に帰宅してもらうことに。ほどなくJAFマンが到着すると、パンクの箇所を調べます。幸い、応急処置にて自走可能になったため、速やかにディーラーに車を託すことができました。


 パンクなんてツイてない…。

 ……本当に?


 この1週間、毎日交通事故を目撃していた私としては、事故を起こさず良かったと安堵が勝りました。

 以来、不穏な空気が霧散したものですから、何か厄落としのようなことが起こったのかもしれません。それを境に事故車を見なくなりました。

 ほんの一瞬、刹那の差異で事故は発生します。偶然性なのか運の良し悪しなのか、或いは魔が生ずる隙と解釈する人もあるでしょう。

 大切なことは場所や人よりも、自分の心の在り方でしょう。高名な神職の御祓も結構なことですが、当人の心が伴わなければ意味は乏しい。

 祈りとは元来、もっと身近な日常の一部だったと云います。その対象が何であれ、祈る日々の重なりは守護の礎となるでしょう。

 


 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、貴方の日常が幸せの中に在りますように。



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渡邊惺仁
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