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日常会話で上下を切る。

 話を相手に聴いてもらうにはどうしたらいいか。

 話の内容や扱う題材が面白ければ自然と相手の気を引くことはできましょうが、いつもそうとは限らない。相手にとっては興味の乏しい内容かもしれませんし、日常の些細なことを話したいときもあるでしょう。

 そんなとき。

 精神的噺家の父に習った落語の基本技術が役立ちます。

 落語は一人の話し手が少ない小道具で複数の役を演じ分ける芸術です。話の内容や話し方はもとより、些細な仕草ひとつにも魂が宿ります。
 本日は、私が日常的に用いる落語仕草の中で、特に汎用性が高く、身につけると話が飛躍的に相手に伝わりやすくなるものをお伝えいたします。

 それは上下かみしもを切る、と表現されます。

 噺家が複数の登場人物を演じ分けるときに、ちょっと右を向いたり左を向いたりするアレです。この向きにはルールがあります。

 噺家から見て左が上手かみて、右が下手しもてです。

 簡単には、
「自分の左上に偉い人がいる」と憶えておくと良いでしょう。

 理由のようなものを説明すると、これは芝居の舞台において、花道のある方が下手で座敷のある方が上手であることに通じます。
 例えば親子の会話を再現する場合、
子どもの役を演ずるときにはひだりを向き上手を切り
親の役を演ずるときにはみぎを向きます下手を切ります
角度は30度くらいが適切です。会話ではないナレーションは正面を向くと良いでしょう。

 この仕草を意識するだけで、発言の内容が誰のものか、グッと分かりやすくなります。初めは難しく感じるものですが、慣れてくると自然と演じ分けができるようになります。そうなればしめたものです。そこを起点に落語仕草を日常に取り入れていけば、きっと貴方も次第に落語が好きになってきます。話の内容のみならず、仕草に注目すると、ひと味違った楽しみ方ができるはず。

 さぁ、寄席に参りましょう。

 え、近くに寄席がない。然らば動画配信サービスで落語に触れるのも素敵です。ナマには及びませんが、それは実に心地良いものです。

 

 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、落語界が諸事情により寂れることなく、賑やかで楽しい伝統文化であり続けますように。



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渡邊惺仁
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