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虚飾に満ちた街の空白 《詩》

「虚飾に満ちた街の空白」

不調和な思想の中で僕はぼんやりとした
不明確な空白を抱えていた

そしてまた彼女も別の空白の中に居る

薄っぺらな虚飾に満ちた街の中

何処にも居場所を
見つけられないでいる君を見た

なんとなく僕には其れがわかった


僕等は二十一世紀的では無い
まわりくどい会話を交わした

僕等の抱えた空白を静かに

重ね合わせる事が出来たなら

少なくとも僕は其れを望んでいた

しかし 其の重ね合わせを

明確な形にする術をふたりは持たない

そして僕は彼女を愛している事に気がつく


彼女は僕よりも大きく深い空白を持ち

僕は選択の余地なく
其処に引き摺り込まれる

破壊と沈黙 

避け難い破滅の夢を見続ける


其れでも構わない 

どんな悲しみだって
光に変えてみせるから

そんな言葉をひとつ胸に飲み込み

白い月を見上げる

夜空に張り付いた街のネオン

また君を思い出してる僕が居る

其の想いは積み重なり
あの月へと届くだろう

誰かが指を差し向かうべき方向を
僕に教えてくれる 

其処にある

基本的運営方針の書かれた
掲示板の前でただ立ち尽くす

掲げられた文字には

幸福な気持ちを抱く様な事柄は

何ひとつとして書かれてはいない

そして人々は
悪夢に耐える事を学んでいく


密度のある深い沈黙が

特別な夜だと言う事を告げている

鐘を鳴らせ 銃を取れ 

銃弾は銃口から弾き出された

劇的な点火 光と音が 
あの日の僕等の空白を埋めて行く

そしてふたりの空白は静かに重なり合う
僕等は永遠を誓う口付けを交わした

全ての風は穏やかにひとつの場所に
向かって吹いている

例え其れが間違った場所であったとしても


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