月下の詩人と盲目の犬 《詩》
「月下の詩人と盲目の犬」
大きな美質と
大きな欠陥が背中合わせに存在する
其処には見え透いた理論は無い
疑問を背負ったまま
僕等は今を歩き続けている
一匹の盲目の犬
何かに損なわれる事が無い様に
僕は其の犬を抱きしめていた
その失われた瞳を通して
彼はこの世界に現れる
そして彼の言葉が
僕の意識の領域に着地する
時間の歩みすら止まる気がした
ソメイヨシノが香る時
嘘しか言わない君が僕には
一番正直者に映って仕方ないから…
ひとつ
またひとつ
本当の優しさの意味を知る
月下の詩人と盲目の犬