ボルサリーノ 《詩》
「ボルサリーノ」
全ての物事に
朝の光は投げかけられて
僕はその前を通り過ぎる
僕は身体の輪郭を
自ら創り出し服を纏う
覚醒が否応無しに舞い降りる
古い時代の
ギャング映画に出て来る様な
ダブルのスーツにソフトハット
手に持つマシンガン
ボルサリーノ
そんなものを
意識の闇から両手ですくい上げ
邪魔くさい殆どの青空に貼り付けた
トーストにバターを
厚く塗り過ぎた朝
生温い珈琲に残り少ない煙草
世界中の人達は
僕が此処に
取り残されてる事を知らない
空模様は変わり
鉛色の空が雨を予感させていた
夢ひとつ見ない深い眠りが僕を呼ぶ
僕は地獄に堕とされる準備は
まだ整って無いんだ
そう心の中で囁いた