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最終章 《詩》

「最終章」

其処に君が居ると

思い込むんじゃ無くて

其処に君が居ない事を

忘れてしまえばいい

それが僕の恋の始まりだった


僕等を隔てる
距離や周りの雑音は消え去り

僕は常に君を感じる事が出来た


遠くに輝く星はいつも

僕の手を伸ばした少し先にある 

決して触れる事の出来ない虚しさに 

押し潰されそうになっていた

数々の記憶の中から

質の良いものだけを

セレクトして再生した

純粋な光と香りと色彩に満ちた


いつか近いうちに雨が降り

川が溢れて出来の悪い物語を綴る

そんな記憶を流し去る
最初から何も無かった様に


僕は全ての事柄を責め続け

最終章では全ての事柄を許した

責めるのも許すのも
自分自身だと気付いたからだ


不均一な灯りの下 混じり気の無い

上質な輝きを持つ氷に
ウィスキーを注いだ

あの星はいつでも僕の心の中にある

Photo : Seiji Arita

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