桜日待たずに 《詩》
「桜日待たずに」
形があるものにせよ
無いものにせよ
全てはいつか消えていく
残るのは記憶だけだ
僕等は普段
あまりにも多くの巧妙に作られた
複製に取り囲まれている
其のせいで本物を知らない
実物の持つ激しさ荒々しさや
其の重みを見失う
ただの野放図な認識だけが
空から落ちて来た
激しい宿命的な恋の始まりの様に
僕は存在理由の第六番目に
恋みたいなもの…そう書き残す
不条理な響きを残し
年老いた猫が鳴く
「愛するものが死んだ時には
自殺しなけあなりません
愛するものが死んだ時には
それより他に 方法がない」
桜日待たずに春日狂想
僕は中也の言葉を
何度も指先でなどる
右巻きに捩れ落ちる脳が
絶望と終わりの中でしか
永遠の美は存在しないと語り
左巻きに捩れ上がる脳が
希望と未来は君の意識の中に
そう語る
捩れるだけ捩じれればいいさ
どうせ まだ春は遠い