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謝肉祭 《詩》

「謝肉祭」

夏の終わりの風が

川縁の木の枝を揺らす

其の陽の光に満ちた場所を

遠くから眺めていた


其処にある大きな木に

頼りになる
精神の柱の様なものを 

重ねていたのかもしれない


不道徳で人格的欠落を持つ微粒子が

円滑に循環し完結している

其れを人々は完璧な

完成の環と呼ぶらしい

正常位的な納得を求める事も無く

矛盾と欠陥を抱え込んだまま
其の環は周り続けている


即席的な黙示録と謝肉祭

熱烈なキスの雨を降らせる売春婦

其処にある救いは
何よりも純粋な輝きに満ちていた

爛熟の風と豊饒の海 

無言の歌が木の枝を揺らす

最後の過去と最初の未来が
同期して行く

理論武装された

組織的枠組みの外側から

もうひとりの僕が其れを見ている

理論として言葉として正しい事が

人々の魂にとって必ずしも
正しいとは限らない

無自覚な時はただ漠然と流れ続ける


無言の歌が 

独りにしないでくれ 

そう声を殺し叫ぶ

誰もが新たなヒーローと 
新たなアイコンを求めている

謝肉祭は始まったばかりだ 

誰かがそう言った

僕は手がつけられない程の
退屈を蹴り上げた

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