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火遊び心中 《詩》
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「火遊び心中」
僕の口からいちいち
そんな事を言わせないでくれ
それこそ表から裏まで
承知していたはずだ
君が欲しがるものを誰もが
迅速に届けてくれる訳じゃない
誰も君に
かしずいてはくれないって事さ
だいたい君が生きよが死のうが
そんな事を皆んなが気にするとでも
思ってるのかい
君はいつか 違う奴と
違う詩を歌う事になるだろう
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白昼の光の中に
夜の闇の静けさの中に
夜明け前の瞬間の中に
全ての場所で
僕達ふたりは生きていた
壁に出来た亀裂
その亀裂を覗き穴にして
その壁の向こう側の世界を
見る事を可能にする
君の深層意識と僕の語られざる深淵
それを繋ぐ入口が此処にある
其処で君はまるで絹の
ストッキングを脱ぐ様に
するすると自分の肌を脱ぎ去る
全ての真実を僕に
理解してもらえる様にと
私に本当の貴方を教えてちょうだい
そう君は言った
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冬夜の空は澄み切っていて
西の空には幾つかの星が見えた
その星の光は街の灯りにも
消されずに輝いていた
僕は君の為だけに詩を歌い
君は僕の為だけに詩を歌う
死がふたりを分つまで
そんな牧師みたいな事を
君は囁き微笑んでいた
もっと僕を見て 僕だけを見て
決して忘れないさ 忘れさせないさ
僕は夜に火を付けた
煙と火の粉が
狂った様に空に舞い上がる
君は本当に僕の為に
詩を歌っていましたか
それはいったい
何の詩だったでしょうか
どうして僕は
泣いているのでしょうか
君が描いた
その絵の中の空は何色ですか
床に横たわる温度を失った君の影
僕はゆっくりと煙草に火を付け
吸い込んだ煙を吐き出している
これで良いんだ
全ての永遠が完結しようとしている
僕も逝くよ
火遊び心中
君は誰とも歌えない
僕以外の誰とも詩は歌えない
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