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anarchism - チケット - 《小説》

「anarchism」 - チケット-

ねぇ誠君 ちょっとこっちに来てよ

レコード店のお姉さんが
僕を手招きする

何ですか…お姉さん 

そう答えた僕に 

お姉さんはやめてよね 

私 玲子って言うの

僕は玲子さん 

1度だけ名前を呼んでみた


コレコレ 今 店長居ないから
丁度良いタイミング


そう言ってサービスチケットの束を

僕に手渡した

明日 

誠君の誕生日だよね 16歳の

私 君の事なら
なんでも知ってるでしょ

そう言って玲子さんは微笑んだ


僕は こんなに沢山 いいの 

100枚くらいあるよ

そう言った僕に 

職権濫用ってヤツだよ 
そう玲子さんは答えた


この店でLPレコードを1枚借りると 

サービスチケットが
1枚もらえるんだ

そのチケットが10枚貯まれば

無料でLPレコードが
1枚借りれる仕組みになっていた


嬉しい 

有難う御座います 玲子さん

僕は喜んで 
サービスチケットの束を受け取った


いっぺんに使っちゃダメだよ 

店長に怪しまれるから


そう玲子さんは付け加えて 

また僕の瞳の奥を

覗き込む様に見ていた

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