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黄泉国 《詩》

「黄泉国」

また夢を見た辛い夢を 

其れが少女からの最後の
メッセージだった

ただ意識を集中する 

イメージが自律的に動き始める

妄想的な暴力性が
暴走を始め混沌の中に深く沈み込む

身体と意識が壁を抜けて行く

既存のメディア認識により成立した世界で

即席的なロマンチック•ラブが
大量生産されている

インスタントな愛の営みと欲求と快楽

本質的なロマンチシズムに

性的関係はあってはならない

他殺や自殺によってのみ
癒される人間は存在する

私は夢の中で何度も死んでいます

そう少女は僕に話し始める

象徴的現実に殺されたのだと

僕は少女の発する一種の
暗号で縛られた状況を理解した

だか 

其の暗号を解き明かす事が出来なかった

行かなくてはならない 

そして僕は壁を抜けて行く


砂漠の真ん中にある戦場の跡を抜けた

空気が乾燥している 

足元に転がる
迫撃砲弾の欠片と銃弾を見た

其処には死しかありませんでした

誰かの声が聴こえる

其の死の気配は今でも
色濃く漂っている

偶然では無い必然的に僕は此の
戦場跡を通らなければならない

其の先に君が居るから

僕は少女の精神的な波長に合わせて
歩みを進める

此処は黄泉国 夢は見ないの 

少女が呼んでいる

苦痛の無い正しさや

心の無い優しさには意味は無い

最後に残されたものは
僕等の弱さだったのかもしれない

僕は伸ばされた君の手を掴んだ

此処は黄泉国 もう辛い夢は見ない

小さな花が風に揺れていた 

やっと君を見つけた


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