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告白に失敗した猫 《詩》

「告白に失敗した猫」

より深く根付いた悪 

堅く地殻的で意図的な塊では無く

流動的で本能的であり 

地表に噴き出す溶岩の様な
致命的な悪を求めている


其れは方向性の違いなど

全く意識しない

選択肢も無く 

まるで我々こそが全ての
正論であるかの如く


存在するものを現存する
全てを飲み込んで行く

突撃と玉砕 

頑なまでの意志と決意すら溶かして行く

悪や溶岩は一種のメタファーに過ぎない

ドフトエスキーに溺れていた頃の

僕の恨みや憎しみが 

そして怒りに似た哀しみが

溶岩を意識の中に創り出した

長く重い罪と罰の流儀

神と悪魔が戦っている戦場こそが
人間の心であり

希望を持たずに生きる事は
死ぬ事に等しい


悪が導くものは必ずしも

絶望だけでは無い 

其の先にあるものは解放だ

僕は致命的な悪を求めている

破壊と再生の後に

奇跡的な空間が生まれる

其の場所には囲まれた枠は無い

僕は告白に失敗した猫を
膝に抱いて 其の場所に居る

ピアノの前に座る

楽譜を開き 奏でる 

想うままに無限の色の無い音が舞う

其の旋律にもならない色彩を
失くした音は繰り返し消えない

ピアノなんて何処にも無いのに


猫は居た 眠っていた 

僕の膝の上で

また同じ夢を見た 

さよなら

この夜が終わる前に君を忘れよう

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