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Love Love Love 《短編小説》

「Love Love Love」

鼻歌 舌打ち 
悪魔と神おも欺くタフな才能

愛とか金とか罪深くぶん獲るスキル

真っ赤な嘘だろう 
其の描いたシナリオ

僕等はティー バッグを瀬戸内海に
投げ入れて海を紅茶に変えたんだ

何故って? 足りないからだよ 

そう 全てが足りない

日本国旗をうち振う
大多数の国民が愛国心を
忘れかけているからさ

自由の花咲く民主主義国家 

国の理念を愛している

もしも 僕等の未来に何かしらの
希望があるのなら

それは過去の礎石の上にものを
建て構築する作業になるはずだ


どんな過去だよ?

略奪か差別か癒着か搾取か 
それとも戦争か広島か原爆か
暗殺か…

刹那的快楽思考の残骸 

プロテスタント理念の衰退 

破壊された偶像 恥の上塗り

機械人形の様な瞳は極めて道徳的で
同義に反する事も無く

実に現実的だ 
僕等はそれを降服と呼んだ


テレビを見れば 
公民権運動の指導者が撲殺され

反戦デモ隊は武力により
叩き潰されている

暗い銀色の夜に混乱を重ねながら
砕けて行く風

やがて其れは柔らかな息吹に
変わり静寂を愛撫する

月は雲間に隠れて
地平線は姿を消した

煙草の光だけか星の様に輝いている

僕等はそれぞれの夜の中で
暗闇を縫い合わせる

幻想の祝典 

同じ間違いは何度も繰り返すんだ

間違いを繰り返さなくなれば
神様なんて必要無くなるだろう

君は僕の事を狂ってる 
そう言うけど

違うんだ 

今までの僕が
狂っていただけなんだ わかるかい

此れは僕の錯覚かもしれないけど

確実だとは言えない事だけど

確かに あの時 
神様が僕に向かって手を振っている
様に見えたんだ


全ての輝きは夏の盛りの
美しい夕暮れ

いつしか闇に飲み込まれていく

沈黙した孤独が空気を切り裂き

そして不思議なくらい
何も無かった様に消えていく

言葉は言葉になる前に

歌は歌になる前に
僕等を取り囲み飲み込み消えていく

其れは僕等が過去に何処かで
経験した何かに似ている


深刻な仮面を被った道化師達は

羊水的に通底する
原初風景の夢を見る

其処には天使の羽ばたきに似た
魔術的な優しさがあったんだ

欠落を伴う永遠の刻印を
指先でなどる

僕等は保留無く
その傷を愛し続けている

目が眩む程の鮮やかな満天の星を
一瞬にして心の中に映し出す


ピース マークだとか
フラワー パワーだとか好きだよ 

君はどうだい

Love Love Love

誰かがそんな歌を唄っていた

きっと此の歌には紅茶が似合うよ

そう思わないかい

君が微笑んだ時 
世界が微笑んだんだ

信じてもらえないかもしれないけど

本当ににっこりと微笑むんだ 
嘘じゃないよ 信じてみなよ

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