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お試し怪談②「新しい靴」


ご挨拶

弊サークル「青碧せいへきつどい」は、2023年11月11日の「文学フリマ東京37」に初参加します。

記念すべき第一号は、「怪談」がテーマです。
しかも、創作怪談集ではなく"実録"怪談集となっております。
つまり、我々サークルメンバーが直接体験した、あるいは知人友人が体験したものを聞いて集めた「怖い話」「不思議な話」を掲載します。

※上記のwebカタログから、「☆気になる!」をチェックしていただけると嬉しいです。
初参戦ですから、広く皆さんに知っていただきたく思います。
どうぞSNSにてご共有していただいたり、ご友人にご紹介いただきたく思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

理念について

「それぞれ各々の奇妙な体験」の一次性を保つため、書き手として脚色を極力くわえないでありますから、構成が巧いとは言えないお話もございますが、その荒削りな印象も、リアリティとしてお楽しみいただければ幸いです。
勿論「語り」として洗練されたものも中には含まれています。それは語り手や書き手の技量のみならず、そのお話が何度も人と人との間でやり取りされるうちに研磨されてきた、下流の丸石のようなものです。角の取れ方は、そのままそのお話の履歴書とお考え下さい。

一次性という観点から、基本的に本文中で書き手が聞き書きに対して考察をくわえることはありませんが、書き手がすなわち体験者の場合、その限りではございません。体験者の考えるところは、そのお話の重要な構成要素と言えるからです。


本題

さて、前置きが長くなりましたが、本題となります。今回の(一連の)記事では、『青碧集 第一号 怪談』掲載話の中から、皆様に本書の雰囲気を想像していただくため、三つほど「お試し怪談」をご紹介させていただきます。

第二話は、「新しい靴」です。

お試し怪談②「新しい靴」(SH-0039)

 筆者の母が女子大生の時の話。
 母の友人のDは勉強よりも遊びやバイトに夢中で、大学を休むこともしばしば。かたや真面目に授業を受けていた母は、板書ノートをたまにDに貸していた。ある日、Dはいつものように大学を休んだ。しかしその翌日、教室へやってきたDに対し、友人の一人が、昨日大学に来ていたんじゃないかと聞いた。というのもその友人は、学内でDの後ろ姿を目撃したのだという。すると教室にいた他の学生たちも、口々に同様の目撃証言をした。白いコートにヴィトンのバッグを持ち、有名なモデルの靴を履いている、という出で立ちが、目撃者全員の間で一致していた。しかし、Dにはまるで身に覚えがない。そればかりか、筆者の母に限っては、昨日確かにDと面と向かってある小説の話までしたはずだった。母が「昨日本の話したよね?」と聞くと、Dは「あ、それは覚えてる」と言い、件の小説を鞄から取り出してきた。それは昨日の話だと母が言うが、Dは昨日はバイトに行っていたから大学には来ていないと言い、更に、多くの友人が目撃したという自分のファッションについて、その靴は昨日バイト帰りに買ったのだと言う。コートとヴィトンのバッグにしても、購入したのは最近のことだが、デートの際に彼氏にお披露目するために用意したものであって、大学には一度も身に着けてきたことがないと言う。

(伊丹)

サークルメンバーの伊丹秦ノ助くんのお母様の体験談です。伊丹くんのお母様は他にも数多くの怪異を体験しておられ、その一部は『第一号』にも沢山掲載しています。

この「新しい靴」というお話ですが、全く別のルートで入手した「ドッペルゲンガー」と題したお話とかなり内容が重なっており、怪奇現象か、あるいは人間の認識に通底するなにかか、ともかく興味がそそられるところです。「ドッペルゲンガー」も、『第一号』に掲載しておりますので、是非お手にとってご確認いただければと思います。

このような形式で、最後の一話も掲載いたします。

文学フリマ東京37にお越しの方は、是非弊サークルへお越しください! 実際の本を手に取って見てみてください。ご覧いただくだけでも構いません。フリーペーパーもご用意しています。


青碧の集い 代表 戯鳥


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