『青碧集 第一号 怪談』(note分割版①)

★本記事は2023年11月に当サークルの発行した『青碧集 第一号 怪談』内容の一部を、note記事として再編集したものです。該当するほとんどの内容は、紙書籍版と共通しています。

★note分割版は全部で4つあります。本記事はその中の一つ目のものです。

★本記事の他にも、『青碧集 第一号 怪談』に含まれるすべてのお話を一つの記事にまとめたものもございますので、そちらもご確認ください。

本記事は、上記の記事を分割した形でご購入いただけるようにしたものですので、〈全編〉記事との内容は重複します。ご注意ください。

諸情報

メールアドレス: seihekiblue@gmail.com
𝕏: @seiheki_circle  
https://twitter.com/seiheki_circle
制作:青碧の集い 
編集:戯鳥
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怪談投稿フォーム:https://forms.gle/Te1eVYjjDZ38y62B6
質問箱:https://peing.net/ja/me/home



【序】

 

 「なんか、同人誌とか、作りたくね?」だったか、「怖い話集めようぜ、あるだろ」だったか、正確にはどういった端緒がこの本にあったのかは、今となっては定かではない。「書き手」の一人である伊丹くんと、山梨県甲府市にある喫茶店カフェ「ロッシュ」にて、思いつきに勢いを重ねてそういう話をしていたのが、二〇二二年の晩夏だったように思う。「ロッシュ」には「 コーヒー氷アイスコーヒー 」だったかそんなような、ちょっと声に出しては頼みづらいメニューがあった。アイスコーヒーに氷が入っているのだが、その氷がコーヒーを凍らせたものでできているのだ。時間が経って氷が溶けても、コーヒーは薄まらないという寸法だった。普通の氷ならいざ知らず、せっかくコーヒーでできている氷だから、ないがしろに飲み残すわけにはいかなくなった。結局手のひらでグラスを温めるという実に本末転倒なことをしながら、暫くの時間余計に「ロッシュ」に滞在する必要が生じた。そのような時間に、この本の濫觴(というほど、この川は大きくはない)があったり、なかったり。

 閑話休題。伊丹くんに怪談話のアテ(つまり不思議な感覚を有する彼の母親のことだが)があったこともあり、私は私でいくつかの不可解な実体験を持っていたということで、第一号は差し当たり表題の通りになった。怪談集、というより出来上がってみればそれは総合的には、良く言って奇談集、ひどい部分ではただの与太話なのではないかというものすら掲載されている、と見做される可能性すらある。しかし、これはひとえに我々制作陣が等身大の力と行動範囲とでかき集めた「怖い話」あるいは「不思議な話」の集合体である証左であり、そしてなるたけこれから記す話たちは選別もしていなければ脚色もしていない。そういう「語り」はあった、という意味ではいわば一次資料集であり、本書は規格化された意味でのエンターテインメントを目的とはしていないという前提を踏まえればむしろ「怖い話」、「不思議な話」を集めるという純粋な動機に突き動かされた誠実な態度のために、このような内容になったと、そう考えていただきたい(お願いします)。

 制作上どうしても最終的に出力する「書き手」が偏り、まったく筆が踊っていないとは言い切れない部分もあるが、少なくとも体験者の経験から演繹可能な記述と思われる範疇にとどめるに努めた。本企画の今後の「書き手」の増加を節に願う。なお、第一号がたまたま「怪談」だっただけで、次も怪談集を必ず作ろうとは考えていないが、「怖い話」、「不思議な話」の蒐集は今後も続けるつもりであって、また十分な話数が集まれば同じようなものを出す予定である。この本の末尾に詳しくは記すが、外部からのネタ提供・寄稿・タレコミを随時募集中だから、恐怖体験のある方は是非。

 願わくは、この本の誕生の元凶となったあのコーヒーのように、常に濃い味を保持せんことを。

 

青碧せいへきつどい 代表 戯鳥


【書き手】

  〇伊丹秦ノ助(いたみ しんのすけ)
  〇織餅(おりもち)
  〇鎧(かい)
  〇戯鳥(ぎちょう)
  〇五代單(ごだい ひとえ)


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