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禅と建築

良い建築とは、すべての人が仏のように穏やかで優しい気持ちで過ごせる空間であり、その人々が本来持っている仏性を引き出すものである。これが禅の本質である。

写真(C) Stirling Elmendolf

ある外国人が、予算が足りずに砂利を敷いただけの庭の写真を見て「これは禅だ」と言ったが、もちろんそれは誤解である。何もないことが禅だと勘違いしている人が多いので、その点を整理する必要がある。

「無」とは、何もないことではなく、必要なものが揃っていて、余計なものがない状態を指す。すべての人が穏やかで優しい気持ちで過ごすためには、不足があってはいけないし、無駄なものがあってもいけない。

清浄であることも重要である。汚れていては穏やかな気持ちでいられない。自動で洗浄してくれるトイレは、まさに禅の精神を体現している。モーションセンサーで自動的にオンオフする照明や換気は、スイッチに触れる必要がなく清潔である。

空気も清浄に保ちたい。扉を開けて風を入れる昔ながらの日本の光景だが、上半分だけ開けられる「ダッチドア」なら、風が強い日も土埃などが入らず、虫や小動物の侵入を効果的に防ぐことで、無用な殺生(殺虫)を減らせる。

周りの人々の気持ちも穏やかで優しくしたい。この建築の住人は、周りを花やハーブでいっぱいにしている。中からは見えない花は、自分のためではなく、周りの人のために植えられている。まさに利他の精神である。

小さな町工場で作られた「動くキッチン」。冷蔵庫、食器棚、キッチンなど、すべてが小さく、余計なものが一切ない、まさに「禅のキッチン」である。

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写真の茶ばみは私が加工したものであり、Stirling氏の作風ではありません。

ぶっしょう【仏性】とは、すべての生き物が備えている、仏になれる本性。

Zen and Architecture

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