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清風堂のおすすめ vol.17(2024/1/13

こんにちは、清風堂書店の谷垣です。
たいへんな年明けとなりました。まさか元旦から、あんなに大きな地震がくるとは思ってもみませんでした。お店に初出勤した日は、まず近くの避難場所を調べるなどしていました。

ところで、昨年末にイベントの告知を開始したのをご存知でしょうか。

『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』刊行記念&紀伊國屋じんぶん大賞15位入賞記念!

 編著者であるナチズム研究者・田野大輔さんに加え、対談相手としてアーレント研究者・森川輝一さんをお迎えし、『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』をさらに問い直していただきます。

 〈悪の凡庸さ〉と聞くと、「アイヒマンは組織の歯車にすぎなかった」といったふうに、ついわかったような気になってしまうかもしれませんが、歴史研究の分野ではすでに否定されている見方です。そういった〈悪の凡庸さ〉にまつわる世間一般の誤解を解く、というのが本書のメインテーマです。ただ、本書を通読すればわかるように、アーレント研究者とナチズム研究者の間には、〈悪の凡庸さ〉という概念に関して認識のズレがあります。実はこれも重要なテーマです。今回のイベントでは、本書の内容をふまえながら、アーレントが〈悪の凡庸さ〉を用いて伝えたかったことは何だったのか、そして全体主義や官僚制の問題を私たちはどう考えたらいいのかについても語っていただきます。

概要欄より

 『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』を問い直す。すこし言いにくいかもしれませんが、勘のいい方は「ひょっとして…」と気づいたかもしれません。実は、今年のじんぶん大賞には『土偶を読むを読む』(文学通信)という本もランクインしているのですが、こちらはサントリー学芸賞を受賞し話題になった『土偶を読む』(晶文社)を徹底検証した1冊です(注1)。
 『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』は元となる本があるわけではありませんが、日本社会で誤解され続けている〈悪の凡庸さ〉という概念を問い直す(=検証する)というのがメインテーマであり、本書もまた検証本のひとつと言えるのではないでしょうか。また、今回のイベントはナチズム研究者・田野大輔さんとアーレント研究者・森川輝一さんの対談という形式をとっています。〈悪の凡庸さ〉をめぐり歴史研究と思想研究のあいだでは認識のズレがあり、本書後半の座談会ではそれが如実に表れています。そこも本書の興味深いポイントです。今回のイベントもまた、本書の枠組みをなぞらえたものとなっています。

そして、田野さんに特製ステッカーをご用意いただいております。

SNSで話題。私もほしい。
特製ステッカー第二弾。こちらも当日お渡しします。

こちらは来場参加の方限定となります。
ぜひこの機会にお申し込みください。


(注1)ちなみにもうすこし遡れば、『日本国紀』(幻冬舎)を検証した『もうひとつ上の日本史』(幻戯書房)や、最近では『進化思考』(海士の風)を検証した『進化思考批判集』(産業デザイン研究所出版局)など、「検証本」がこれからのトレンドになるかもしれません。

これから出る本

2月はちくま、岩波に注目。

『商店街の復権』広井良典編/ちくま新書

コミュニティの拠点としての商店街に新たな注目が集まっている。国際比較の視点や公共政策の観点も盛り込み、未来の商店街のありようと再生の具体策を提起する。

内容紹介より

続いて、ちくま文庫から3点ピックアップします。
ちくま文庫大好き。

『新版 思考の整理学』外山滋比古

「東大・京大で1番読まれた本」で知られる〈知のバイブル〉の増補改訂版。2009年の東京大学での講義を新収録し、読みやすい活字になりました。

内容紹介より

ちくま文庫といえばこれですよね。私は学生時代に読みました。そこから著者の他の本を何冊か読み、「セレンディピティ」という言葉を知りました。この時の読書経験はいまの仕事にもとても役立っています。学生だけでなくビジネスパーソンにもおすすめです。

『本は眺めたり触ったりが楽しい』青山南

積ん読したり、拾い読みしたり、歩いて読んだり、寝転んで読んだり、バスで読んだり。本はどう読んでもいい! 読書エッセイの名著、待望の文庫化!

内容紹介より

タイトルがすべてを語っている。

『絶滅危惧種個人商店』井上理津子

あなたの町にもきっとある! 素晴らしき個人商店を訪ねて聞いた店主たちのヒストリー。駄菓子屋、戦闘など18軒、いまだ健在なり。解説:北條一浩

内容紹介より

個人商店がどんどん減っていく昨今。記録として残しておくことに意味があるのだとおもいます。大阪のお店は紹介されているのだろうか。

『他者といる技法』奥村隆/ちくま学芸文庫

マナーや陰口等、他者といる際に用いる様々な技法。そのすばらしさと苦しみの両面を描く。「生きる道具」としての社会学への誘い。 解説:三木那由他

内容紹介より

この手のテーマの本が最近増えてきています。どれも気になる…。解説は三木那由他さん。

いずれも2月上旬発売予定。

ジェンダーや同性婚をテーマにした本が岩波書店から続々刊行

・『同性婚と司法』千葉勝美/岩波新書

元最高裁判事の著者が同性婚を認めない法律の違憲性を論じる。日本は同性婚を実現できるか。同性愛者の尊厳をかけた注目の一冊。

内容紹介より

・『ジェンダー史10講』姫岡とし子/岩波新書

女性史・ジェンダー史は歴史の見方をいかに刷新してきたかーー史学史と家族・労働・戦争などのテーマから総合的に論じる入門書。

内容紹介より

・『同性婚法制化のためのQ&A』岩波ブックレット

なぜいまの結婚制度は異性カップルしか利用できないの? 同性婚の法制化をめぐる様々な問いについてQ&A方式で基礎から解説。

内容紹介より

ひらいめぐみさんが来店されました

梅田ラテラルでのイベント終了後にお立ち寄りいただきました。ちなみに、この日の翌日(1/14)に文学フリマ京都が開催されますが、こちらに百万年書房が出店されるとのことです。

「ルチャし続ける」vol.1を配布しています

「戦争、差別、抑圧などなどと闘い続ける」ための冊子『ルチャし続ける』。青木さんからデータをいただき、印刷配布しています。
そして4月にはアレがあるらしい…。ご期待ください。

(終)

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