清風堂のおすすめ vol.17(2024/1/13
こんにちは、清風堂書店の谷垣です。
たいへんな年明けとなりました。まさか元旦から、あんなに大きな地震がくるとは思ってもみませんでした。お店に初出勤した日は、まず近くの避難場所を調べるなどしていました。
ところで、昨年末にイベントの告知を開始したのをご存知でしょうか。
『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』を問い直す。すこし言いにくいかもしれませんが、勘のいい方は「ひょっとして…」と気づいたかもしれません。実は、今年のじんぶん大賞には『土偶を読むを読む』(文学通信)という本もランクインしているのですが、こちらはサントリー学芸賞を受賞し話題になった『土偶を読む』(晶文社)を徹底検証した1冊です(注1)。
『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』は元となる本があるわけではありませんが、日本社会で誤解され続けている〈悪の凡庸さ〉という概念を問い直す(=検証する)というのがメインテーマであり、本書もまた検証本のひとつと言えるのではないでしょうか。また、今回のイベントはナチズム研究者・田野大輔さんとアーレント研究者・森川輝一さんの対談という形式をとっています。〈悪の凡庸さ〉をめぐり歴史研究と思想研究のあいだでは認識のズレがあり、本書後半の座談会ではそれが如実に表れています。そこも本書の興味深いポイントです。今回のイベントもまた、本書の枠組みをなぞらえたものとなっています。
そして、田野さんに特製ステッカーをご用意いただいております。
こちらは来場参加の方限定となります。
ぜひこの機会にお申し込みください。
(注1)ちなみにもうすこし遡れば、『日本国紀』(幻冬舎)を検証した『もうひとつ上の日本史』(幻戯書房)や、最近では『進化思考』(海士の風)を検証した『進化思考批判集』(産業デザイン研究所出版局)など、「検証本」がこれからのトレンドになるかもしれません。
これから出る本
2月はちくま、岩波に注目。
『商店街の復権』広井良典編/ちくま新書
続いて、ちくま文庫から3点ピックアップします。
ちくま文庫大好き。
『新版 思考の整理学』外山滋比古
ちくま文庫といえばこれですよね。私は学生時代に読みました。そこから著者の他の本を何冊か読み、「セレンディピティ」という言葉を知りました。この時の読書経験はいまの仕事にもとても役立っています。学生だけでなくビジネスパーソンにもおすすめです。
『本は眺めたり触ったりが楽しい』青山南
タイトルがすべてを語っている。
『絶滅危惧種個人商店』井上理津子
個人商店がどんどん減っていく昨今。記録として残しておくことに意味があるのだとおもいます。大阪のお店は紹介されているのだろうか。
『他者といる技法』奥村隆/ちくま学芸文庫
この手のテーマの本が最近増えてきています。どれも気になる…。解説は三木那由他さん。
いずれも2月上旬発売予定。
ジェンダーや同性婚をテーマにした本が岩波書店から続々刊行
・『同性婚と司法』千葉勝美/岩波新書
・『ジェンダー史10講』姫岡とし子/岩波新書
・『同性婚法制化のためのQ&A』岩波ブックレット
ひらいめぐみさんが来店されました
梅田ラテラルでのイベント終了後にお立ち寄りいただきました。ちなみに、この日の翌日(1/14)に文学フリマ京都が開催されますが、こちらに百万年書房が出店されるとのことです。
「ルチャし続ける」vol.1を配布しています
「戦争、差別、抑圧などなどと闘い続ける」ための冊子『ルチャし続ける』。青木さんからデータをいただき、印刷配布しています。
そして4月にはアレがあるらしい…。ご期待ください。
(終)