60年前の家族の写真を掘り起こしたら、気候変動について見えてきた
前回、こんな記事を書きました。
今後、世界の気温はどのようになっていくのか?熱波はどの程度増えるのか?など、気候変動に関して出た報告を簡単にまとめたものです。
でも、実は、この記事を書く前には迷いもありました。内容はポジティブなものではないし、読んでいる人を嫌な気持ちにさせたくないという気持ちがあったのです。
でも、事態がもっとひどくなって、「そんなこと知らなかった!あの時もっと自分にできることがあったのでは?」と思う人が出てきたら。
ぐるぐると考えた上で、「やっぱり書こう!」と、けっこう真面目に投稿しました。
そして、そんなに読まれないかも?と思っていたけど、予想よりも沢山の方に読んでもらえました。いつも読んでくださってるnoterさんが、変わらずスキしてくれたのも嬉しかったです。
今、参加している野本響子さんの執筆サークルでは、私の記事をきっかけに仲間が貴重な情報をたくさん寄せてくれました。この問題を、自分事として考えている方たちが多いことがわかり、書いてみてよかったなと思いました。
そして、私の記事をきっかけに、みなさんが気になったことって多分大きくコレなんじゃないかなと思いました。
二酸化炭素排出を抑えるために、一体、何ができるか知りたい。
でも、知れば知るほど調べれば調べるほど、「私達にできること」って、小さいことだし簡単にコレがいいです、と言えるものでもない。いろんな面から見るほどに、「本当にそう?」ってなることも多い。
だから私は慎重で、前回の記事は、まずは知ることとしました。
でも、頂いた情報や確かそうな情報から「出来そうなことは何か?」についても、ポツポツと調べて書いてみたいなと思います。
今回は、まずは「自分が出している二酸化炭素(CO2)の量」を把握することと、そして掘り起こした古い写真から、「ここ60年のライフスタイルの変化」について考えたことを書いてみたいと思います。そして、おすすめ本についても、まとめてみました!
もはや、調べ学習状態ですが興味ある方は読んでみてくださいね^^
日本人が一人当たり1年間に出しているCO2の量は?
前回の記事では、国別の排出量の順位を書きました。国別だと日本は、世界で5番目に排出量が多いです。
そして、それを国民の数で割って、一人当たりに換算すると、
1位 アメリカ→2位 韓国→3位 ロシア→4位 日本
となるようです。
日本人が、一人あたり1年間に排出する量は、約8t(トン)とのこと。(※2018年データ)
8tっていうと、8000kgです。でも、これって、おそらく家庭で出された二酸化炭素だけではなくて、産業分野から出された量もまとめて入ってるんのだとおもいます。
そこで、1家庭から出されるCO2の量もしらべてみました。家庭からだされるのは1年間で「約4t」だそうです。その内訳です。
では、二酸化炭素(CO2)は、森林などの植物の光合成により吸収されますが、1年間に「4t」のCO2を吸収するのに、どれくらいの広さの森林が必要なんだろう?というのも、気になって調べてみました。
林野庁のHPによると、1へクタール(100m✕100m)の広さの場所に植えられた樹齢40年程度のスギの木が、1年間に8tくらい吸収するとありました。
なので、非常にざっくりとですが、、。
だいたい1家庭当たり、1ヘクタールの半分の森林が1年間で吸収する2酸化炭素を出しているんだなくらいに、イメージすると分かりやすいかも。
私は、これ、けっこう広いな!と思いました。みなさんは、どうでしょうか?
ここ60年くらいのライフスタイルの変化から
世界の二酸化炭素排出量の変化を見ると、1950年くらいからググッと上がってます。
これは、日本だと戦後にあたります。
先日、小4の息子の社会の授業で、昔の生活という授業があったとき、「祖父母世代の暮らしについて話を聞いてくる」という課題が出されました。そこで、私の母の子どもだった頃の写真が掘り起こされたのです!
それを見て、ちょっと衝撃でした。
これが、現在60代後半の母が子どもだったときの、名古屋市の割と中心に近い街の様子です。自転車に乗っているのが若かりし頃の母! ↓
こちらも、母が子どもだった頃、親戚が集まって撮った写真。
晴れ着ではないので、お正月ではないのでは?とのこと。なんのために集まって撮ったのかはわからないとのことでしたが、すごい大人数です。そして、着物の人が多く、家は木造です。今年、90代で他界した祖父が後方、左から3人め。まだ赤ちゃんだった母の妹を抱っこしている男性です。
うちの母は現在、60代後半なので、この写真は約60年前のもの。この写真を見て、ライフスタイルすごく変化したんだなぁ……という実感が湧きました。そして、その過程の中で二酸化炭素排出が増えたことに妙に納得しました。
母が子どもの時、親族が「氷屋」を営んでいて、とても羽振りが良かったそうです。「氷屋」とは、まだ冷蔵庫がなかった時代に、冷蔵庫代わりにしていた「氷」を売る仕事。そうか、60年前は氷で冷やしていたんだなと思いました。
この60年の間に、道路は舗装され、たくさんの車が走るようになり、人々は、着物から洋服を当たり前に着るようになった。家は木造から多くが鉄筋コンクリートなどになった。ビルも沢山作られた。
そして、一家に一台、冷蔵庫、TVやエアコンなど、沢山の電化製品が生産されて、家にある家電はどんどん増えた。そして、今は一人一台スマホが当たり前。
ものの売り方も、大量に作りロットを増やして、商品のコストを下げて安く売るという大量生産に変わっていきました。食事は、魚中心から、肉を沢山食べるようになりました。海外旅行に行くようになり、頻繁に飛行機にも乗るようになりました。
90代で亡くなった祖父は、生前は本当に便利な世の中になったといつも幸せそうでした。すき焼きが大好きで、電化製品が好きで、仕事を引退した後の海外旅行を楽しみにしていました。戦争を知っている世代からみると、本当に幸せな時代。
でも、その影で、二酸化炭素の排出は確実に増えていました。たくさん持ち便利な生活をすることが豊かさの象徴で幸せの形だった。そこに罪は無いんだと思います。
まさか二酸化炭素がこんなにも出て、それが気候変動の原因になって、それがどんな甚大な影響をもたらすのか私たちは知らなかったのです。(実際にそのことについて長年警笛を鳴らしている人達はいたけれど、皆の心にはしっかりと届かなかった)
そして、ここへきて身を持って気候変動の怖さをしり、大量生産の問題点や様々な弊害についても知ることになったのかなと思います。
では、CO2排出の内訳は?
家庭からの排出ではなくて、日本の産業分野も含めた全体の排出をみてみると、化石燃料(石炭火力など)からの「エネルギー転換」が最も多く、その次に「産業」ときます。
例えば、「産業」の中では、鉄鋼業が排出の中で高い割合を占めますが、例えば車を作るにしても、ビルや家を建てるのに鉄鋼は欠かせない。そういう意味でも、ライフスタイルの変化から納得がいきます。
また、これだけ電化製品が欠かせないとなると、「エネルギー転換」が多いのも納得。
当たり前のように着るようになった洋服。こちらも大量生産、大量廃棄も問題になっていますが、洋服1枚が作られる過程で出される二酸化炭素は、なんと約25.5kgもあるのだそうです。その洋服が、ファストファッションとして大量に作られ、すぐに飽きて捨てられ可燃ごみとなり、燃やされたりしている。そんな現状もあります。
かなり二酸化炭素の排出と、私達のライフスタイル変化とは関係しているんだなと思います。
でも……、昔のような生活に戻れるわけでもないし、60年前に戻りたいと思う人も少ないのかもしれません。
それに産業やエネルギーの分野から出される二酸化炭素の量が今は膨大なので、個人でできることは色々あるけど、影響力は小さいのかも。
でも…、できるだけものを長く使って、リユースする。買い手として、ものを買うときに、「この商品は、どういう製造過程で作られているのか?環境に配慮されているか?(できるだけ、生産者の見えるものを購入する)」など厳しい目で見ていく。「買ってもすぐ捨てることにならないか?」「省エネか」を考えながら、慎重に手に取るということが大事なのかも。
さらには消費以外のことで楽しみや喜びをみつけ、人生の豊かさを感じることも大事なのかも。最近は、そういう価値観で行動する人が増えているなとも感じます。
企業でもサスティナブルな事業を目指すのがスタンダードになりつつあります。
ちなみに鉄鋼業での二酸化炭素排出を抑える新技術、CO2フリーの水素発電など、新しいエネルギー技術の研究も進んでいますし、それとあわせて、今コロナ禍で強制的にしているような、生活のダウンサイジングも出来る範囲で継続するのは有効なのかなと思います。
「何ができる?」のヒントが見つかる本
最後にですが、「何ができる?」は、きっとたくさんあるし、人によってアプローチも違うはず。それぞれの生活に合わせて出来る範囲でやるのが一番だと思います。
もっと「何ができる?」を自分なりに考えてみたいという方に、私が読んだ本でおすすめの本を紹介したいなと思います!有名な本が多いので、もう手にとった事ある方が多いかも。
★「ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法」(山と渓谷社)
こちらは、「エネルギー」「食」「女性と女児」「土地利用」「輸送」「建物と都市」「注目の解決策」などのカテゴリー別に、地球全体を包括した視点で考えられたアイディアがたくさん詰まった本です。
2020年にクラウドファウンディングによって資金が集められて、2021年1月に翻訳本が日本でも出ました。日本でもこの本が読めるように行動をされた方々に敬意を感じます。
★「ほどよい量をつくる」(しごとのわ)
大量につくり、大量に捨てる。食品ロスや、洋服の廃棄問題、様々な問題が山積みになっている昨今ですが、そんな中でも、ほどよい量をつくって、本当に良いと思ってくれたお客さんに届けていく、という点で語られる本です。この、ほどよい量を作るという考え方は、働く人も幸せにする働き方だなと感じます。
1 いかにして適正な量に保つか
2 お客さんといかにつながりなおすか
3 できたものをいかにして届けるか
3つのポイントを軸に、日本で行われている実例を取材して書かれた本で、参考になります。店舗を経営されている方や、自分で事業を営んでいる方にも参考になるし、ものの買い手としても、できればこういうお店や仕組みを応援したいと思わせてもらえる本です。
★「人新世の資本論」(集英社)
なぜ、こんなにも気が付かないうちに、問題が山積みになってしまったのか、その理由を「資本論」を軸に解き明かしていく本です。難しい本かなと思いきや、意外と読みやすく、なるほど!とぐいぐい惹き込まれます。
前半も読み応えありますが、後半の解決策の「脱成長コミュニズム」、資本以外の共同体を成長させるという考え方は、本当にうまくいくのだろうか?と思うところはあるものの、一つのアイデアとしてなるほど!と思うところもありました。
この「脱成長コミュニズム」の考え方を、柔らかくして簡単に実例として紹介したのが、私的には甲斐かおりさんの「ほどよい量をつくる」の内容に近い気がしました。もし気になる方がいたらセット読みもオススメかもしれません。
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またまた、まとまらない感じですが、そろそろ長くなったので終わりにします。私のつたない調べ学習?にお付き合いいただいてありがとうございます!
また、調べたことがまとまったら、書いてみたいと思います!
前回の私の記事をきっかけに書いてくださった記事紹介!想いの循環がうれしいです^^