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万葉の人たちと同じ花を見る、秋のお散歩

週末に小雨の降る中、散歩をした。

テーマは運動不足解消と、「秋の花」探し。

一緒に行った義理の妹は植物に詳しくて、色々と教わりながら歩くのも楽しい。

雨のふる公園は、人もまばらで静か。植物もしっとりと雨に濡れた様子が美しいので、最近あえて雨の中を散歩するのがブームなのだ。


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公園をしばらく歩いていくと、妹がさっそく「萩」の花を見つけた。

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調べたら、「萩」は万葉集でもっともよく詠まれている花らしい。派手さはないけれど、梅よりも桜よりも、万葉の人達に愛されていた花なのだ。

枝は下の方へ垂れてうつむいていて、控えめ。花も小さく華やかさはない様子や枝の感じから「内気」「思案」「あれこれ考える」などの花言葉もあるとか。

「考えすぎ」な所がある私も、共感してしまうような花だ。


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ほほぉ~と「萩」を2人で見ていると、ふいに通りがかりの山登りスタイルに身を固めた女性に話しかけられた。

「ナンバンギセルって知ってます?イネ科の植物の下に寄生する植物で、ホラッあそこ」

と指差す方をみると、いくつかひっそりと赤紫の花があるのが見えた。これ、教えてもらわなければ、ぜったい見逃していたな。

「ナンバジゼル?ですか?」

「えーっと、ナンバンギセルです」

5回くらい、聞き直してしまった。笑

それくらい、耳慣れない植物だった。教えてもらえてラッキーだった。

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こちらが、そのナンバンギセルさん。

まだ、これから、パァッと一花咲かせるんだよね?といいたくなるような風貌だけど、これで全開なのだそう。ススキなどのイネ科に寄生するという生息スタイルも、なかなか独特。おもしろい花を知った。調べたら、こちらも「万葉集」に登場したことがある花らしい。

 「道の辺の尾花が下(もと)の思い草 今さらになぞ物か思はむ」(万葉集)――道端の尾花(ススキ)の下の陰にある思い草のように、あなただけを思っているのに、今さら何を思い迷うことがあるでしょうか。

歌に出てくる"思い草"が、ナンバンキセルのことらしい。江戸時代に入って、出会うようになった外国人が持っていた煙管(キセル)に形が似ていることから、南蛮煙管と名付けられたらしい。


ちなみに花を教えてくれた女性は、普段は近隣の山登りをするのが趣味なのだけど、こんなご時世でなかなか行かれず、近所の公園で植物探索を楽しんでいるのだそう。植物好き同士、こうやって交流が生まれるのもうれしい。

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次に、少し公園の中の茂みをのぼっていく中、「あ~、ホトトギスじゃない!これ?」と妹がひときわはずんだ声を出す。

おぉ、そこにまた私には見慣れない花が。

こちらが、ホトトギスさん。

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格調高い花として、お茶会の茶花や生花にも使われることもある花とのこと。

へぇ~知らなかったなぁ。よく見てみると細かい造形が見ごたえがある。ちなみに花言葉は、『永遠にあなたのもの』『秘めた意志』『永遠の若さ』らしい。


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秋の花は派手さはないのだけど、控えめでどれも愛らしかった。

そして千年以上の時を経て、万葉の人たちと同じ花を見ているんだなぁと思うと、うっとりしてしまう。植物はずっと変わらず私達と共にいて、その花を大切に想ってきた人たちが、ずっと続いていたんだ。当たり前のようで、当たり前でもないような……。

植物は何気ない毎日を楽しく、そして四季を味わう喜びをくれる。

ちなみに、今回のお散歩。子どもたちを誘ったけど、(うちのキッズたちも姪っ子も)誰ものってこなかった。ザンネン。まあ、大人だけの楽しみということで、これからも小雨散歩を続けてみたい。



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seico@編集とライターの人
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