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梅擬(うめもどき) / 散らかる文 青紗蘭
野鳥たちが、紅く熟した小さな実をほおばっている。なんと愛らしい。
梅によく似た葉。
こぶりであるが、似ている実。
梅擬き。
そう呼ばれるのもわかる気がする。
晩秋から冬にむけ赤が増す。雪でも降れば、更に色づいてゆく様。それらを見つめればうっとりとしてしまう。
梅もどきは、野鳥に助けられて初めて種をふやすことができる。野鳥たちのおなかに入り、消化、排泄によって梅もどきの種がもつ発芽抑制物質を取り去ることができる。
野鳥たちにより遠くまで運んでもらえる可能性もあり、その大胆さと選んだ進化の道に驚く。
植物の進化は凄まじい。たくましい。
適応する力も強く。自己犠牲もあれば、未来に托す力もある。時にミューテーションのような進化をとげることもある。淘汰されゆく運命に在るものすら、その先を変えることを諦めていないようにみえる。
さて、私も含め。人は、どうであろうか。
人の性質上、争いを止められないことは、歴史が証明してしまっている。
人の行く末が、このまま互いに譲歩せず、互いの正義を押し付け合うだけなら。
また、あらゆる生命に対しての蛮行をやめなければ自然に淘汰されるだけだ。
捕食する側が特別存在しなくとも。未来を遺そうと思い行動しなければ滅びは加速する。 それは、遠く無い未来。
人が揺らぐのは、止められぬ。
しかし、考える力を持ち、言葉を持ち、意思を通わせることができる。
そう、そして時に助け合うこともできる。
これらが、人に対する理想の論であることを知っている。人の一面でしかないということも。苦しいほど、知っている。
それでも梅擬の赤い実をみるたび。
勇気付けられ、前へ未来へと進む私がいる。
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