2021年に読んだ「面白かった本」Best 5
2021年は全部で70冊ほど本を読みました。
今回はその中でも面白いと思った本Top5を紹介していきます!
第5位 『世界は善に満ちている―トマス・アクィナス哲学講義―』(新潮選書)
この世にはまだ自分の知らない"欲求されうるもの"が無限にあるという事実に胸の高鳴りを感じた。
感情とは受動的なもの。人間の愛は受動的なもの。それは人の中に刻印され、喜びをもたらす。
愛する人がもう一人の自分となり、自分の中に生きていく。そうして育まれていく自分と世界との絆。
世界は善に満ちている。それは創世記にも記してある。神が創ったこの世界は"極めて良かった"と。
第4位 『死者の奢り・飼育』(新潮文庫)
読み終えるまでにかなり時間がかかった。独特の文体であり、"論理的な骨格と動的なうねりを持つ文体"というのは言い得て妙だと思った。
表題作である『死者の奢り』を23歳で書いた著者の途方もない才能には、嫉妬を通り越して敬服の念が湧いた。
個人的に好きだったのは『他人の足』である。閉鎖的空間に突如として現れる異物。変化を嫌う人間という生き物は、本質的に保守的なのではないだろうか。
第3位 『イエスの生涯』 (新潮文庫)
ただひたすらに愛の実践を行った一人の人間がいる。 人類全ての苦しみを味わったただ一人の人間がいる。
「苦楽を共にした仲」などという言い方があるが、人間同士が苦しみを完全に理解し合うことはできない。人の苦悩は千差万別であるからだ。
けれどただ一人、最後まで人間の同伴者となれる人間が居る。
何故なら彼は、全ての人間の苦悩を背負って死んだから。
そんな人物の生涯を綴った評伝。
第2位 『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性』 (講談社現代新書)
非常に興味深く、刺激的な内容だった。
特に第二章の科学の限界に関しては、目から鱗の連続だった。科学に限らず、我々は何かを信じるのに合理的な理由など存在しない。多かれ少なかれ盲信しているのだ。
ゲーデルの不完全性定理に関しては流石に少し難解だったが、シンポジウム形式のおかげで読み進めるのが苦では無かった。
第1位 『大衆の反逆』 (ちくま学芸文庫)
非常に刺激的な読書体験だった。
かつてないほどに恵まれた現代という環境に"大衆"が生じたのは必然であろう。彼らは凡俗なる生を享受し、自らに多くを課さない。
特に共感したのは"生の潜在的能力"という言葉だ。現代が包含する可能性があまりに途方もないが故に、その可能性に自らを投じる術と気力を見失っている自分を再確認した。
本書を手に取る前に自己の内にあった不遜を感じた時、また手に取りたい一冊である。
あとがき
結果、小説が2冊、思想系が2冊、論理学系が1冊となりました。
皆さんも昨年読んで面白かった本を是非、コメント欄やnoteで共有してください!
ではまた!
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