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語学を続けることの難しさ

今日は中国語に興味ある人、中国語を勉強しているすべての人向けに話したいと思います。それは「語学レベルの維持」のお話。

私はかねてからずっと、「語学って不思議な学問だな」と思っています。

最初のとっかかりはとてもやさしい。誰でも「意欲さえあれば」老若男女とわず、気軽に始めることができます。本を買って時間を取り、それなりの学習法を会得すれば、「語学の向上」を実感でき、「一定期間は」モチベーションを維持できることができるでしょう。

モチベーションを維持して正しく勉強した人には最終的に、中検1級合格や通訳案内士合格といった目に見えるご褒美が貰えるだけでなく、中国人からは「君の中国語上手いね。どこで勉強したの?」とか「ネイティブ並ですごい。中国関係の仕事に就職しちゃいなよ」とかお褒めの言葉をもらえるにちがいありません。

中には天狗になって「すごいだろ」とドヤ顔する人もいるかもしれません。語学を活かして中国関係の仕事に着く人もいるかもしれません。

しかし大多数の人が考えていないことがあります。それは「その後どうするの?」という問題。

人は達成感を得てしまうと、往々にして「満足」という感情で自己弁護しがちで、「もうこれくらいやったからいいや」という気持ちになってしまうのです。実はそれが語学にとっては一番の天敵で、モチベーションの維持という重大な壁となってわれわれの前に立ちはだかります。

「分かっているよ」と思う方もいるかもしれませんが、語学は他の学問と違い、覚えたらその場でおしまい。というものではありません。

使って自分のモノにして初めてマスターしたと言えます。しかもスポーツのように、使わないとどんどん錆びていきます。要するに「自己メンテナンスが必須な学問」なのです。ここが、語学の最も難しい点と言えます。

私自身も昔は皆さんと同じように、語学とは本を読んで読解力を高め、辞書を引いて言葉を覚えて語彙力を高め、ヒヤリングやスピーキングができるようになることであり、それに向かって努力すべきだと思っていました。だからこそHSKや中国語検定、通訳案内士試験など資格にチャレンジしていた時期もありました。

しかも私は実は、中国での留学を終えた時点で「中国語についてはやりきったな」という気持ちでいました。ある意味中国語をなめていたところもあるかもしれません。

でもその後に私の脳裏に来たのは、「このまま日本に帰って就職したら自分の中国語レベルはどうなるんだろう」という恐怖感でした。つかわなければ錆びてしまう。その道理を私はその時既によく知っていました。

自分の中国語がどんどん錆びついて結局使い物にならなくなってしまったら、高いお金をかけ、しかも自分のキャリアを捨ててまで中国語を勉強したその時間と労力、お金が無駄になってしまう。そういう恐怖感に駆り立てられるまま、どのようにしたら中国語のレベルを維持できるか必死で考えました。

その結果として、中国での工場勤務、日本に帰ってからの今の仕事につながっています。妻との付き合いも当初はその思いがあったのも否定しません(もちろん当時から今の妻に寄せる思いもありましたし、これは理由のごく一部なのですが)。

このようにして私は、学んだ中国語のレベルを維持することがいかに大変かということ、そして外国語は任意の場所で、任意の時に力を発揮して始めて真に「語学力がある」と言えるのだと考えるようになりました。要するに「一番大切なのは終わりのない日々の努力」であって「瞬発力」では無いということです。

このような経験から私は今は、語学系の資格試験、検定試験はそれほど重要では無いと考え、受けること自体もあまり興味はなくなりました。検定は「その時点の語学レベル」を証明するのには有用かもしれない。でもそれは所詮は「瞬間風速」を計測しただけだとも言えます。

だからこそいいたい。優秀な皆さんは、中国語検定やHSKで好成績を取ったからといってその現状に満足しないでください。満足して努力を辞めてしまえばどんどんさびてしまい、その時点でこれまでの中国語習得の努力は「無駄」になりかねなくなります。

実は本当に大切なのは中国語検定やHSKで好成績を取ったその後なのです。好成績をとったのはあなたの実力であり、大いに誇ってもいいと思います。だからこそそれで思考をとめてしまうのは大いにもったいない。

今後は「どのようにしたら自分のそのレベルを維持できるか」そのプランと環境づくり、モチベーション維持に自分の精力を費やすことを大いにお勧めします。

当noteがそのお役に立てればこれほどうれしいことはありません。

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