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中国語学習におけるディクテーション

皆さんは中国語の勉強の際、ディクテーションをしたことはありますか?最近ツイッターを見ていると、中国語学習界隈の人たちから「今日はディクテーションしなきゃ」とか、「今日はディクテーションでお勉強します!」といった声を度々見かけます。

ディクテーションの必要性については、以前の私の記事「ヒヤリングでも意識したい『中国語は文字の集合体である』と言う意識」で「ヒヤリング」力のアップと言う観点から少し触れました。

現に私たちの中日ニュース翻訳のチームでも、新たに入ってきた新人にはまず、中国語のラジオ放送のディクテーションを勤務時間中いっぱい使って手書きでやらせるといったことをしてます。これには、新人に「中国語の音を耳に慣れさせる」といった目的があります。

では中国語学習において、ディクテーションは本当に効果はあるのでしょうか。

一般的に巷で言われている、ディクテーションの効果とは①ヒヤリング力の向上➁語彙力の向上――なのではと思われるのですが、こと中国語学習者においては、注意すべき点があります。

それは中国語の初学者にとって手書きのディクテーションは少々ハードルが高いということです。

そもそも表意文字の漢字を使う中国語は、表音文字のアルファベットを使う英語と違い、音声がそのまま文字に反映されているわけではありません。そのため、私たち非中国語ネイティブはピンイン(台湾では注音記号)を使って別途発音を練習し、その上で「漢字と音(ピンイン)を結び付ける」という作業をしなければなりません。

このため、漢字とピンインが頭の中で結びついていない状態で①音を聞いて理解し②それを漢字(またはピンイン)として手を動かして紙に書きだす――といった伝統的なディクテーション方法を行った場合、すべき手順が多すぎて時間がかかってしまい、効果が半減してしまいます。

とはいえ、聞いた音をそのままピンインでディクテーションするというやり方にも少々問題があります。それはピンインは実際に中国語ネイティブの人たちが使用する文字ではないという点。ですから、ここでもまたしても「漢字と音(ピンイン)を結び付ける」という脳内トレーニングが別途必要になってしまうわけです。

この問題を解決するためにはどうすべきなのか。私自身は、「音を聞いて手で紙に書く」方法ではなく、「パソコンを使ってピンイン入力法で書き出す」方法でディクテーションすることをお勧めします。

「ずるいじゃん」という声が聞こえてきそうですが、この方法を使うと、先ほどの②の手順を、パソコンに補助してもらうことができます。日本人なので、耳で聞いた音をピンイン入力法を通して、漢字として視覚的に覚え、日本語と類似する単語も発見することができます。しかも漢字の変換の際に「視覚情報としてのピンインと漢字」も頭の中で結びつけることができるのです。また「達成感」もいくらか得られることができます。

ただこの方法は、「自分が聞いた中国語の音声を自分の脳内で正しくピンインに変換できること」がまずは大前提となります。

とはいっても、もし自分が聞いた音を脳内で正しくピンインに変換できなければ、変換される文字も変な文字(単語)が出てきます。その時点で、辞書で調べて字単位で「どの漢字はどの発音をするのか」を確認することができます。

このようにしてパソコンを使ったディクテーションを通じて、①聞いた音とピンインとの結びつけ②音と対応する漢字との結びつけと確認――といった二重の効果効果を得られることができるわけです。

当然ながら、「漢字そのものの書き順」などを覚えるには実際に手を動かさなければ身につくことはないわけですから、すべてのディクテーションをパソコンで行えと言っているわけではありません。

手動のディクテーションとパソコンのディクテーションで言うならば、初級~中級の段階で5対5ぐらい、上級になり、漢字と音が結びつくようになった時点で3対7ぐらいに割合を変えるといいと思います。

実際に私自身も、パソコンで文書を入力するようになってから、数多くの文字をピンイン入力を使って知るようになりました。お勧めです。


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