プログラミングのススメ
私は、3年目(ブランク2年あり)のプログラマーである。早い人ならシステムエンジニアにステップアップしている段階だろうが、私はまだプログラマーだ。
システムエンジニアになりたいとは思わないが、憧れる。
この2つの違いは何かと言うと、プログラマーが仕様書に沿ってプログラムを書くのに対し、システムエンジニアはその仕様書を設計したり実際にお客さんと話をして要望を設計に反映させたりしていく。純粋にシステムエンジニアの仕事だけをしている人は多くないんじゃないかと思う。大手のことはわからないけれど、私が前いた会社ではお客さんと話しつつ設計し、ごりごりプログラムを書いている人が大半だった。今の会社もそう。
ところで、私は純度100%の文系である。
高校時代の数学なんて、平均点の半分以下が常だった。プログラミングなんて文系とは正反対の位置にあるって?そうでもないのです。
とにかく、数学なんて大っ嫌いな私は大学も当然文系の学部に進んだし、いまだに数学なぞ分からない。
そんな私がなぜプログラマーになったのか。
それは、大学4年生の夏直前のことだった。私は迷走し、焦燥していた。
3月の就活スタートダッシュ。連日の説明会。溜まっていくお祈りのメール。そんな日々に力尽きて、3ヶ月ほど就活をしなかった時期がある。その3ヶ月は今思えば本当にもったいないのだが、当時の私はのんきに遊んでいた。
周りが着実に内定を獲得していくなか、そろそろやばいんじゃないかと焦り始めたのが7月頃。
就活を始めた当初は業界を広く見ていたが、それではダメだと早々に悟った。以来、ゲーム業界と出版業界に的を絞ってきたが、なかなか振るわない。出版社に至ってはエントリーシートを書く時点で挫折した。内容が独創的すぎる。
力尽きる直前、SIerという業種を知った。平たく言えばシステム開発の会社だ。ふーん、そんなのあるんだ。と何社か受けてみたが、やっぱり届くのはお祈りのメールばかり。
やりたいことって何…?自分に向いているのはどんなこと?今思えば、自己分析が足りていなかったのだと思う。(当時掲げていた強みは、後に転職活動をした際には一切登場しなかった。)
向き不向きは別として、漠然とゲームを作りたい、という思いだけが心の片隅にあった。詳しい理由は割愛するが、幼い頃から漫画やゲームに救われてきたからだ。
ところがゲーム業界には大きな罠があった。それは、分業制だと言うこと。キャラクターデザイン、シナリオ、BGM、そしてプログラム。すべてが別の人の手で作られるのだ。私は、私自身の力でゲームを作り上げたかった。例えるならそう、ネットで配信されているフリーゲームのように。というわけで私の就活の中からゲーム業界も消えた。
そうなると、何も残らない。私はそこで力尽きたのだ。
就活しなかった3ヶ月間、自分なりに考えた。何をしたらいいのか、どうすればいいのか。でも、考えただけだった。何かを行動に移すことはなかった。
3ヶ月後、今度はSIerに的を絞って就活を再開した時にその見通しの甘さを突きつけられた。SIerに焦点を当てた理由は、プログラミングができたらゲーム作れるんじゃね!?と思ったからだ。この頃にはもう、ゲームは仕事ではなく趣味で作ろうと考えていた。
現実を突きつけられたのは、就活を再開して間もない頃のことだった。
ある会社の説明会に参加して、プログラマーは案外文系の方が向いてるかもと人事の方が言ったから、そのまま面接に進んだ。そして最終面接で社長と話した時に言われたのが、この一言。
「プログラミングを仕事にしたいのに、プログラム書いたことないの?」
ぐうの音も出なかった。確かにその通りだと思った。その時に内定は出なかったが、人事の方がかけ合ってくれて、もう一度チャンスをもらえることになった。
簡単なものでいいので何かプログラムを作り、その過程をレポートにすること。それが私に与えられた課題だった。
それからは試行錯誤だった。まずはどんなプログラミング言語があるかを調べて、どうしたら開発する環境が整えられるのかを探った。Hello,world!を表示するのでさえ一苦労だった。説明通りに書いても動かない。記号一文字違っているだけで動かなくなるくらい、コンピュータは繊細なのだ。このことは、実際にプログラムを書かなければ知ることができなかった。想定どおりの動きをしてくれた時の喜びも然り。プログラミングのことを何にも知らないで仕事にしたいと言っていたのだ、私は。なんて恐ろしい。
結局作ったのは、本当に簡単なもの。プルダウンから月を選んで表示ボタンを押すと、その月にある祝日が表示されるというものだった。プログラムの内容というよりはレポートが評価され、無事に内定を頂くことができた。
それから2年少し、その会社ではお世話になった。
あの時、社長のあの一言があったからこそ、私はプログラマーになることができた。理想と現実が乖離することなく、2年も仕事を楽しく続けることができたのだ。その後うつ病になったのは誤算だったけれど。
そして今、2年のブランクを経て、私はまたプログラマーになった。正直、プログラマーとしてはまだまだ未熟だ。病気からの社会復帰ということもあって、嫌なことは何もないはずなのに会社に行くのはしんどい。でも、日々変化していくIT業界で楽しく仕事を続けられるのは、社長のあの一言があったからだ。
興味があること、やってみたいことには、ぜひ挑戦してみてほしい。実践あるのみ。
まずは知ることから、初めてみてほしい。
実際にプログラマーになってどうだったか、何が楽しくて、何に躓いたかという話は、またの機会に。
ちなみにこれは完全なる余談だが、自分自身のオリジナルのゲームはあれから5年経った今でも完成していない。着手すらしていない。これも、実践あるのみなんだけれどなあ。
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