わたし流。シードペーパーの使い方 vol.2
え? ドレスに花咲く和紙を!?
花咲く和紙を通したユーザー様との出会いのなか、その後のストーリーが気になるケースがさまざまあります。そのひとりが、トヨダヒカルさんです。彼女は2023年の春ごろ、ひとりでオープンデイの日にオフィスにやってきました。若い女性がふらりと足を運んでくれることはたびたびあるのですが、京都からというのは珍しく、それだけでも光栄ですが、その後のストーリーには心動かされました。人生の飛躍に、少しでも関われたことが私たちの誇りにもなっています。
消えるドレスをつくりたい、そんな発想から生まれたコラボ
ヒカルさんは大阪にある服飾の専門学校に通う学生で、当時は学内のコンテストに参加するための作品づくりに集中していました。そのコンテストのテーマにメメントモリがあり、消えたあとも世界は続くから悲しまないで、という趣旨を受け、ヒカルさんは消える素材でドレスをつくりたいと考えていたそう。
「消えるなら花が咲くといいな、そんな思いで、パソコン検索していると、SOUPの花咲く和紙がヒットしました。この時まで、シードペーパーや花咲く和紙の存在を知らなかったんです。なかでも、桜のコンフェッティが目に入り、これをドレスに付けたい! と、SOUPのオープンデイに出かけたんです」
いろいろな思いが重なり、つながりを感じた出会い
SOUPへの数ある問い合わせのなかで、花咲く和紙を服飾で使いたいという声を聞くのは初めてのこと。そのアイデアに驚き、こちらも嬉しい気持ちになりました。また、花咲く和紙づくりには福祉施設も関わっていることを知ったヒカルさんは、自身も以前から福祉活動に興味があったこともあり、私たちの思いにも心を寄せてくれました。さらに偶然は重なります。桜のコンフェッティに入っているタネはみつばちミックス。これはニホンミツバチを増やしたいという願いから、ニホンミツバチが好む花のタネを漉き込んでいるものです。ヒカルさんのお母様は養蜂グループに所属していることもあり、つながりを感じていただきました。
2600枚のコンフェッティに、思いをのせて
しかしながら、実製作を聞いてみると、使用したいというコンフェッティの数には驚きました。
コンテストに向けて製作するドレスは天然素材にこだわり、京友禅。そこに2600枚もの桜のコンフェッティを付けたいというのです。実際、その時はその数の在庫はなく、私たちは急遽、長野県安曇野にある福祉作業所で1枚ずつコンフェッティをつくっていきました。ヒカルさんはそれをまた1枚ずつ糸とビーズでドレスに付けていきました。花咲く和紙は繊維が密集しているので、扱いやすかったそうです。「祝福と未来を生きるためのエールをこめてつくりました」とはヒカルさんの言葉です。
将来の夢の輪郭が見えたコンテスト。ヒカルさん、がんばれ
そうしてできあがった唯一無二のドレス、学内コンテストの結果は、300人中2位という快挙でした。同時に、姉妹都市であるイタリア・ミラノにある服飾の専門学校で開催されるショーへの出演という副賞も。その後、実際にヒカルさんはショーに出演し、デザイナーのひとりとしてランウエイを歩く経験もしました。
ヒカルさんは今年の春に卒業します。将来の夢は、衣装のデザイナーとして世界的に活躍することと彼女。卒業後はミラノに留学することも決まっていて、のちにインターンを見つけて就職したいと夢は続きます。
私たちもそんな彼女の夢、人生の飛躍に少しでも関わることができて本当に嬉しく、喜ばしい気持ちでいっぱいです。ヒカルさん、その行動力とアイデアで、これからも人生を楽しみ、駆け上がってください!