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あいうえお作詩 4
〈いずものかみ(出雲の神)〉
頂いた贈り物を
ずっと忘れずにいたいから
戻らない心を
ノートの端っこに
書き止めていく
水に浮かぶ雲みたいに
〈くさかげろう(草蜉蝣)〉
口づけた
寂しく笑った
陰さす夜に
限界もなく
ろうそくの灯り
海に沈める
〈せいろう(晴朗)〉
清浄なる調べ
何処より聞る
労せずして流る
泡沫の夢の如く
〈とよあしはら(豊葦原)〉
取り戻さんと
呼び求めし君
主を得んと
死を越えゆけば
果てに見ゆるは
楽土なりけり
〈なきわらい(泣き笑い)〉
無くしたものに
気付いたのなら
私たちはなぜ
乱雑なままの心で
居続けようとするのか
〈ひがごころ(僻心)〉
光なき
外界越えて
合一す
行路はやがて
ロゴスと成れる
〈むいかのあやめ(六日の菖蒲)〉
無下に折られた
命の花も
雁の飛び立つ
野風のやうに
あゝ今君に
安き日あれと
恵む雨落ち…
〈やまいぬ(山犬)〉
社に咲きし
待つ月よ
命みじかく
濡れて散りゆき
〈ロシア(露西亜)〉
牢の中で
死を待つことは
愛を捨てること
〈わかれじも(別れ霜)〉
忘れてしまつた
彼のぬくもり
連綿と流る
時間の中にて
戻らんこと願う