子どものネットトラブル【番外編】「急増する投げ銭トラブル」
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これまで当コラムでは、「ネットトラブルの基礎知識 オンラインゲーム編」として、子どもがオンラインゲームを遊ぶときによくあるトラブルや、その対処法をご紹介してきました。今回はオンラインゲームから少しだけ離れ、近年トラブルが急増している「投げ銭」についてご説明したいと思います。
「投げ銭」は、オンラインゲームにおける「課金」と同じようにお金を扱うため、一歩間違えば深刻なトラブルになりかねない要素です。まずは「投げ銭」の仕組みを確認し、トラブルへの対処法を覚えておきましょう。
■投げ銭ってなに?
投げ銭とは、簡単に言うと「ネット上のおひねり」のことです。
ストリートミュージシャンや大道芸人におひねりを投げるのと同じように、YouTubeなどでライブ配信をしている配信者に対して金品に相当する物(アプリによって異なる)を購入して送ります。
投げ銭自体はクリエイターを支援するという意味で有用なシステムですが、スマートフォンに紐づけされているクレジットカードなどを使って実際にお金を支払うため、特にお子さんがライブ配信を見る場合には、無理な投げ銭を行わないよう注意が必要です。
■投げ銭の利用状況
2022年、消費者庁から発表された「クリエイターエコノミー関連サービスの動向整理」によると、「投げ銭によるクリエイター支援をしたことがある」と答えた年齢層は「15~19歳(28.6%)」が最も多く、30代以降では利用率が極端に低くなっていきます。
投げ銭はここ数年で一気に市民権を得たネット文化でもあり、若い世代であるほど利用頻度が高いと言えるでしょう。「一度に支払う金額」としては「1000円以下(34.0%)」が最も多かったものの、なかには「1万円以上(8.0%)」という回答もあり、子どもに自由に使わせるにはやや危険な要素であると考えたほうが良さそうです。
■投げ銭をするメリットは?
投げ銭の目的は、主に3つあります。
■投げ銭の種類
投げ銭の名称は配信アプリによって異なり、YouTubeの「スーパーチャット(スパチャ)」やTikTokの「ギフティング」など、さまざまな種類があります。
用途はどれもほぼ同じで、前段でご説明したクリエイターの支援やチャット欄のメッセージを目立たせる目的などに使われています。
アプリから直接お金を送るものもあれば、一度アプリ内通貨を購入してそこから支払うものもあり、一度に送れる金額もアプリによって異なります。
以下で子どもたちがよく使うライブ配信アプリのなかから代表的なものをご紹介しますので、まずは投げ銭の仕組みを確認しておきましょう
・YouTubeの投げ銭
「スーパーチャット/スーパーステッカー/スーパーサンクス」
YouTubeで採用されている投げ銭は「スーパーチャット」「スーパーステッカー」「スーパーサンクス」の3種類で、「スーパーチャット」「スーパーステッカー」はライブ配信向け、「スーパーサンクス」は投稿済みの動画向けの投げ銭です。
いずれもデバイスに紐づけられているクレジットカードやキャリア決済などを使って直接送金を行うもので、アプリ内通貨などを購入する必要はありません。
一度に送れる金額は投げ銭の種類によって異なり、スーパーチャットの送金額は100~50000円の範囲で自由に設定可能となっています。スーパーステッカーとスーパーサンクスに関しては、あらかじめ決められている価格の中から送金額を選ぶ仕組みとなっており、細かい金額の設定はできません。
また、投げ銭の利用には配信者側が収益化の条件を満たしている必要があり、条件を満たしていないライブ配信では、投げ銭のアイコン自体が表示されません。「子ども向け」に設定されているライブ配信も投げ銭ができない仕様となっているため、「全ての番組で投げ銭が行えるわけではない」という点を覚えておきましょう。
・TikTokライブの投げ銭
「ギフティング」
TikTokライブの投げ銭「ギフティング」は、TikTokアプリ内で購入した「コイン」をアイテムに交換し、それを配信者に送る仕組みになっています。決済方法は、クレジットカード、キャリア決済、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalなどで、送れる金額は低額のアイテムで2円から、高額のアイテムは6万円を超えるものもあります。(詳しくは、下記リンクをご覧ください)
TikTokは利用規約により13歳未満の使用を禁止していますが、「ギフティング」の年齢制限はさらに厳しい「18歳以上」に設定されており、低年齢層の子どもたちは投げ銭自体を行うことができません。利用規約に違反するとアカウントを削除されてしまいますので、年齢制限を守りながら利用していきましょう。
・ニコニコ生放送(ニコ生)の投げ銭
「ギフト」
ニコニコ動画のライブ配信コンテンツ「ニコニコ生放送」の投げ銭は、TikTokライブと同様、配信者に「ギフト」と呼ばれるアイテムを送ることで行います。
決済方法は非常に多く、クレジットカードやキャリア決済など、さまざまな手段を利用できるようになっています。(詳しくは下記リンクをご覧ください)
投げ銭のやり方は、購入した「ニコニコポイント」を任意の「ギフト」に交換し、それを配信者に送るという流れで、基本的にはTikTokライブと同じ手順です。送金できる金額は50~50000円となっており、こちらもかなり高額の投げ銭が可能であると言えるでしょう。
■投げ銭トラブルへの対処法
投げ銭の支払いは基本的にデバイスに紐づけされているクレジットカードなどで行うため(プリペイドカードなどが使えるケースもあります)、対処法としては「子どもが動画を見るデバイスに決済手段を登録しない」のが基本です。さらに、デバイスごとの「ペアレンタルコントロール」を使い、キャリア決済などの課金ができない状態にしておくとより安全でしょう。
もし、お子さんが投げ銭をしたいと言ってきたときには、「お金の大切さ」や「ひと月あたりに使っても良い限度額」などを親子間でよく話し合い、あらかじめルールを決めておくのも大切です。投げ銭を頭ごなしに否定するのではなく、投げ銭という経験を通してお子さんがお金の使い方を学べるよう、上手にコミュニケーションを取っていきましょう。
iPhoneのペアレンタルコントロール方法
Androidのペアレンタルコントロール「ファミリーリンク」
■投げ銭トラブルが起きてしまったら⁉
もし、お子さんが投げ銭で高額の課金をしてしまい、とんでもない額の請求が来た場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
まずは、サービスを行っている事業者に問い合わせをしてみるのがおすすめです。必ずしも返金が認められるとは限りませんが、まずは子どもが誤って投げ銭をしてしまったのだという説明をし、取るべき手段について相談すると良いでしょう。
また、民法によって定められている「未成年者契約の取り消し」の手続きをする方法もあります。申請にはいくつかの条件がありますが、場合によっては返金が認められる場合もありますので、こちらも覚えておきましょう。詳しい条件や手続きについては、下記のリンク先をご覧ください。
投げ銭だけでなく、ネットトラブルで困った時には、当コラムでもたびたびご紹介している「国民生活センター」や、「消費者庁」の窓口に相談するのも良い方法です。課金トラブルに詳しい専門家のアドバイスを受けられるので、一人で解決しようとせず積極的に利用していきましょう。
いかがでしたか?
最近では配信者もタレント並みの人気があり、低年齢層のお子さんにもしっかり顔が売れています。お子さんが特定の配信者のファンになることも十分考えられるため、投げ銭に関する考え方はしっかり共有しておきたいものです。日頃見慣れた動画配信で、「他の人たちがやっているから」と安易に投げ銭をしてしまわないよう、普段からお子さんとよく話し合い、トラブルを回避していきましょう。
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