『銀の匙』を読みまして
こんちくわ。
前回の投稿から少し空いてしまいましたが、今回も読んだ漫画の感想を書いていきたいと思います。
今回読んだ作品は『銀の匙 Silver Spoon』です。『鋼の錬金術師』の荒川弘先生の作品になります。少年サンデーで過去に連載されており、単行本が全15巻刊行されて完結しています。
https://www.shogakukan.co.jp/pr/ginsaji/
↑銀の匙 Silver Spoon(エゾノー)〈公式サイト〉
過去にジャニーズの俳優が主演で実写映画化が行われて話題になっていたので、作品の名前自体は知っていたのですが、当時サンデーを定期購読していなかったため読んでおらず、原作の方は初見でした。
あらすじを説明すると、これは主人公八軒が北海道の農業高校に入学し、そこで多くの経験を積んで成長していくという学園漫画です。ヒロインのアキを筆頭に個性豊かな生徒や先生が登場します。農業高校ならではの専門性の高い授業や実習が行われるなど、通常の高校生活とは全く違った珍しい生活が面白く描かれています。
この漫画では「命の尊さ」や「畜産業の難しさ」がテーマとして描かれているということが印象的でした。前者について、学校では様々な家畜を飼っており、その中の豚をベーコンなどの商品にするまでの過程が丁寧に説明されています。我々が普段何気なく口にする製品も元々は我々と同じように生きていたのだと改めて感じ、命の尊さを学びました。後者については、ネタバレになるのでできるだけ控えますが、ある牧場が倒産してしまう話があり、条約改正からの海外との貿易における関税の撤廃によって日本の個人経営で行う牧場などが脅かされているという厳しい現実が描かれていました。
ハガレンを読み返した時にでも、後々違う記事で書きますが、彼女の作品にはこのような重く、しかし考えなければならないテーマが定まっているように感じます。
個人的に少し引っかかったのが、学校のカリキュラムと主人公らのプライベートの仕事がごちゃ混ぜになっている点です。また、先生であったり、生徒の親であったりが場面場面に頻繁に登場し、報酬などの見返りもなく主人公に力を貸しているシーンがたびたびありました。豚の飼育などは授業外の時間で全て行っていたのか、それに加えて馬術部にも参加していたのか。
実際農業高校に通っていたわけではないのでこの辺は分かりませんが。
「漫画だからな」と言えばそれでおしまいですが、ファンタジーのような非現実的な話ではなく、日常的な学園ものだったので、ほんの少しだけ気になった点であります。
また荒川先生の絵に関してです。肉厚で骨太で温かみのある、皆がホッコリして見られるような、そんな絵だなと改めて思いました。漫画家の中でずば抜けてうまいということはありませんが、読者を安心させてくれるようなタッチだと思います。また、ギャグを入れるのにすごく合った絵柄だなあと感じました。
完結してしばらく経ってからですが、今回全巻読んでみて良かったです。とても面白い漫画でした。荒川先生の作品は『アルスラーン戦記』(作画)を読んだことがないので、いつか読んでみたいと思います。楽しみ。
それでは今回はこの辺で。
ばいばいび~
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