自分にとって価値ある事だけに集中できるようになる「ギアス・ワード」の使い方
イライラしているときに、いくら「イライラよ、消えろ」と脳に命じても効果がないように、わたしたちは感情を直接コントロールできない。
イライラしても何の得もない状況で、いくら「イライラしても意味ないから、重要な事に集中しよう」と自分に言い聞かせても、数分後にはまたイライラの原因となった人間や出来事に注意がもっていかれる。
時間が経って感情(イライラ)が風化して消えるか、脳に感情的に納得させられる材料を提示しない限りは、脳は延々と目先のイライラにとらわれ続ける。
前者の時間的解決は確実だが、人生は有限なので、無駄なイライラで無駄な時間を浪費したくはない。
なので、うまいこと脳をいいくるめて、納得してもらうしかない。
そのためには、脳の性質やパターンを理解したうえで、働きかける必要がある。
ストレートに「イライラしても意味ない」と言い聞かせても効果がないのは、その言葉を脳が理解できてないからである。つまり、脳にとっては難しすぎるのだ。
もちろん、論理的には理解できているのだが、本能レベルでは理解できてない。
直感的に、何で「意味がないのか」わからない。イメージしづらい。ストレートに入ってこない。
「イライラしても、そのイライラの原因を自分でコントロールできるわけでもないから、自分のコントロールできるやるべき事に集中した方が有益」と、頭の中の論理的な部分を起動させないと、「なぜ、イライラしても意味がないのか」にたどり着けない。
だから、本能から発せられるイライラの方が優位になってしまう。こちらは一瞬で起動するから。
だから、脳を納得させるにはできるだけ、イメージしやすく、脳が直感で理解できるように、「イライラしても損するだけでっせ」という事を伝えなければならない。
前置きが長くなったが、本日はそのための言葉をいくつか見つけたというのが主題である。
その言葉は3つある。
① 「今日が人生最後の日でも」構文
iPhone作った人の有名なセリフだが、イライラとか、どうでもいい感情を振り払うのにも効いた。
本日の私のイライラというのは、編集を担当しているライターの女性が、まったくスケジュールを守らず、しかもその編集案件は義理でボランティアで引き受けたような案件で報酬も低く、その2つの原因により全く労力に見合わない仕事でイライラする、というものだった。
しかし実際は、ライターがスケジュール守らない事のしわ寄せ対応よりも、それにイライラしている事の精神的消耗の方が俺への悪影響は大きく、イライラし続ける事にまったく合理性はなかった。
つまり、こんな事は気にするだけ無駄な、俺の人生にまったく必要のない感情なのである。
そこでこの構文の出番。
「今日が人生最後の日でも、そのイライラに心を割いて、時間を費やすのか?」
人生最後の日。そんな大事な日だったら、こんなどうでもいい人間に費やす時間は1ミリもないよな。
ていうか、人生最後の日じゃなくても、時間の貴重さに変わりはない。俺の想像力が乏しいから今の今までそれに気づいてなかったけど。
という事が直感で理解できて、「考えるだけ損だ!やばい!損したくない!」と慌てた脳がイライラを引っ込めてくれる。
②「誇りに思えるか?」構文
1個目の構文は効果的だが、少し時間が経てばまたイライラがぶり返してくることもしばしば。
だから粘り強く、注意を「価値ある行動」へと戻し続けないといけないんだけど、同じ構文を何度も使っていると、言葉の新鮮さが無くなってだんだん効かなくなってくる。
よって、構文にはバリエーションが必要。
そこで2つ目の構文。
「そのイライラにとらわれる自分を、1日の終わりに誇れるだろうか?」と問うてみる。
どうでもいい出来事に振り回されて、大事な事がおろそかになっている自分を誇れるはずがない。
時間もエネルギーも無駄にした事を後悔するだろう。
自分の愚かさを気付かせてくれる、非常に優れた構文だ。
③「その行為はカッコいいか?」構文
人はみなカッコいい人間になりたいものだ。少なくとも私はなりたい。
では問おう。
「どうでもいい事にとらわれ、イライラする人間はカッコいいだろうか?」
かっこよくない。全然かっこよくない。と即答できる。
どんな状況であっても、自分のやるべき事、自分が価値を信じている行動をとり続ける人間の方が100倍カッコいい。
一瞬で本能レベルで己の愚かさを理解できる、優れた構文である。
イライラがぶり返すのは仕方ない
これらの構文で一時は目が覚めても、またイライラはぶり返してくるだろう。
脳はそのようにできているのだからしょうがない。
だから、感情を引きずらないお釈迦様は、その人間離れした所業を今世まで讃えられているのである。
粘り強く、注意を「自分にとって本当に価値ある行動」に向け直し続けよう。
その方が、どう考えてもカッコいい。人生最後の日に、誇れる自分でいるためにも。
2023/05/25
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?