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コーヒーインク2は権限移譲のゲームだった
※この記事はコーヒーインク2の攻略・コツなどのネタバレを含んでいます。
いま流行りのコーヒ店経営ゲーム、Coffee Inc 2(コーヒーインク 2)をGWにやってみた。3日が溶けた。本当によくできている。
溶けた3日と引き換えに、自社の時価総額が最高難度(難易度最高、ライバル企業数最大、資本金最小)でプレイをして1兆円を超えたので、種明かしのつもりで攻略サイトやプレイのコツが書かれた記事を読んでみた。
おすすめの豆のブレンド方法
店舗ごとの宣伝内容の決め方
店員の時給の決め方、、、、、、
書かれていることはもちろん重要ではあるが、店が上手く成長していくかどうかは、個別の要素のコツよりも、その前段にある意思決定の基本スタンスによって決まってくると思う。
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プレイヤーがやるべきことは、細かいところや、わからないことは店長やCXOという名のCPUに任せ、彼らの判断が多少間違っても利益が出るような事業構造を作ることにある。店舗のあれこれにこだわるほど、プレイ時間の割に売上が増えていかない。
細かいことはCPUに決めてもらう
全部決めるなんてやってられない
このゲームはプレイヤーが決められることが本当に多い。店舗運営であれば出店する立地から、メニュー、価格、宣伝内容、店員の人数、時給・・・。本社機能を作れば、商品開発、広告宣伝費、アプリ開発、社員の人数と給与と福利厚生・・・
全てを自分で決めようとすると、時間がいくらあっても足りない。だから、可能な限り多くの権限を店長やCXOに移譲し、利益により大きな影響を与える要素にプレイ時間と脳内リソースを割り当てる。そのためにも、放っておいてもある程度いい感じやってくれるような優秀な人材の採用が必要だ。
店舗運営は年収600万円以上で採用した店長に一任する
店舗運営の司令塔である店長は給与が多少高くても優秀な人材を採用する。ステータスの高い店長候補は概ね年収が600万円を超えてくるが、その中でも特にステータスが高い人には色をつけて採用オファーを出していた。
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結局のところ、ステータスが高い店長 ≒ ゲーム上望ましい判断をしてくれるCPUなので、店舗運営は採用した優秀な店長に一任していた。売上推移だけ定期的に確認して、売上や利益が良くない店舗は広告宣伝だけ確認・調整(宣伝能力だけはあまり気にせず採用していたため、なぜかテイクアウトを廃止していた、なんてことがあった)し、また放置。どうしても赤字なら閉店。を繰り返していた。
店舗運営が軌道に乗ると、カフェの週次の利益は50万円→100万円→200万円と増えていく。店長の年俸が100万円高くても、1週間あたりの追加コストは2万円。任せた店舗を勝手にいい感じにしてくれるなら安いものだ。
本社運営も高ステータスのCXOに一任する
CXOも同じだ。現年俸が多少高くても、ステータスが高い人材を採用する(忠誠心は年俸やストックオプションでカバーできるので目をつぶった)。そして、自分がコントロールしたい部分、ゲームとして楽しみたい部分(高速に大量の商品開発をしたいとか)以外は、権限を渡して彼らによしなにやってもらう。
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しばらくすると、従業員の給与が爆増していたり、社員が大量解雇されていたり、広告宣伝費がとんでもない金額に膨れ上がっていたりする。ただ、高ステータスのCXOがやったことなので、中長期的にはゲーム上望ましいことが起きるのだろうと思ってそのままにしておく。そうすると、本社社員の能力やモラルがいつの間にか高まって、社員が精鋭部隊になっていたりする。すごい。
利益が出る事業構造をつくる
結局のところカネがいる
新店舗出店、広告宣伝、新商品開発、アプリ開発、、、利益を増やすための活動にはもれなくカネが必要なので、プレイヤーは活動資金を増やす何かしらの変数を変えていく必要がある。
活動資金=社外からの調達資金(融資 or 上場 or 公募増資)+社内からの調達資金(店舗の利益 - 本社機能のコスト - 融資返済)
※株式や不動産からの収益は除外
ゲームを進めていくと、客から「価格が高い」と苦情が来たり、社員から「福利厚生を充実させてほしい」と要望を受けたりする。ただ、最終的に利益が増えなそうであれば、これらの声は無視してしまっていい。彼らの声に負けて、価格を下げたり、福利厚生を手厚くしたりすると、利益構造が悪化するので、事業が伸びなくなってしまう。
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ちなみに、会社がある程度成長すると最高レベルの福利厚生を簡単に提供できるようになる。従業員が喜ぶのでそれはそれで嬉しい。
外部からの調達資金を増やす:低金利で資金調達をする
ゲーム初期は週次の利益が100万円に満たないため、活動資金の大部分を銀行からの融資に依存することになる。支払い利息も馬鹿にならないので、どれだけ多くのカネを低金利で調達し続けられるかが、事業成長のスピードを左右する。そのため、事業からの利益で活動資金を賄えるようになるまでは、世界中の低金利の銀行を回って融資を打診し続けることになる。
低金利の銀行の見つけ方だが、まず、日本とオーストラリアは金利が安い傾向にあった。また、金利引き下げのニュースが出た国では融資金利も低下する。低金利の可能性が高い国を毎週巡って、融資打診をしよう。
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調達した資金をもって、毎週の利益が多少マイナスになる覚悟で出店攻勢やアプリ開発を続けていくと、融資に頼らずに活動資金を確保する体制が少しずつ出来あがってくる。
ちなみに、株式での資金調達はあまりおすすめしない。億単位の金額を簡単に集められるものの、持株比率を高く保っていた方が、ゲーム終盤で不動産を買い漁ったり、スポーツチームのオーナーになったりといった富豪の遊びをするときに資金の都合をつけやすい。
店舗の利益を増やす:コーヒー豆は最安値にこだわる
どうもデフォルトのコーヒー豆はまずいらしく、しばらくすると客から「コーヒーがまずい」という口コミが入るようになる。となると、世界中のロースターを訪ねて、質の高いコーヒー豆を仕入れたくなる。
ただちょっと待ってほしい。いいコーヒー豆の単価はデフォルトの(まずいらしい)豆の2倍近くする。何も考えずにいいコーヒー豆を採用すると、商品の粗利率が70~80%から50%前後まで低下し、売価を引き上げられなければ、今までの1.5倍のコーヒーを売らないと同額の利益を確保できなくなる。つまり、利益確保のために高品質・高単価のものをたくさん売る、というなんだか直感に反した販促活動が必要になってくる。
さらに、コスト構造が悪化するので、コーヒー豆価格の高騰、ライバル店との価格競争、店長の値付けミスといった環境の変化によって利益が簡単に吹き飛んでしまうようになってしまう。
少なくとも財務基盤が脆弱なうちは、安いコーヒー豆を仕入れて損益分岐点を低く保った方が安定した店舗運営ができる。
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おすすめは、デフォルトの標準ブレンドを使い続け、100万円/週程度の利益が出たタイミングで小さな本社オフィスを構えて、さっさと商品開発部をつくることだ。そして、ブレンドなどは考えずに最も安い豆を100%利用した自社豆を店舗で利用する。そうすれば、標準ブレンド豆と比較したときに価格と質の両方が改善する。豆の仕入れコストは多少の上下はあるが、標準ブレンドと比較すると20%は改善する。
もし、最安値の豆が別の品種になったら、その品種に切り替える。豆の変更で利益が大幅に減ることはなかった。
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もしかしたら、豆のブレンド方法によって売上や販売数が跳ね上がるのかもしれない。しかし、売上が増えるという話と利益が増えるという話は別トピックであり、利益を増やせるかは競合の価格水準や権限委譲をしている店長たちの値付けの力量にも大きく左右される。
安い豆で満足のいく利益が出る以上は、豆について深く考えることはやめて、出店計画やマーケティング施策など、別のことに時間を割いた方がいいと思う。
店舗の利益を増やす:ゆるいドミナント戦略で出店する
店舗運営の基本的な意思決定は店長に委ねている以上、プレイヤーがすることは、彼らが判断を多少誤っても、ライバルが近隣に出店してきても利益を確保できる環境を用意することにある。
となると、出店方針の最適解は身内が競合しすぎない程度に同一都市に出店し続けて、ある程度出店しきったら次の都市で同じことを繰り返す、ゆるいドミナント戦略となった。
ドミナント戦略とは、特定の地域に集中して出店する出店方式のことで、記事にもあるように、セブンイレブンやスターバックスが代表例として知られている。
コーヒー豆は最安値の品種を提供すると決めた以上、プレイヤーが店舗運営をバックアップできることは①都市に自社広告を打つこと②新商品を投入すること③アプリなどを充実させることの3つしかない。
このとき、初手のアクションは①少額から始められる②投資開始から成果が出るまでのリードタイムが短い③成否が運に左右されないの3点から広告になる。広告効果が都市をまたがない以上、広告効果を最大限に活かそうと思ったら同一都市で可能な限り出店することが合理的だ。
出店する場所は以下の観点で総合的に選んでいる。なお、内装・外装は極力安いもの、機器は極力高級で生産性が高いものを開店時に選択している。
交通量が多い(10,000人以上いればまぁよし)
複数の身内と競合しない(既存店との競争で利益が出ないことがある)
複数のライバル店と競合しない(競争が激しいエリアほど利益が出にくい)
賃料・初期費用が安い(ほぼ同じ交通量で賃料が20万円以上違うことや、似たような賃料でも初期費用が100万円単位で異なることがある)
ある都市である程度出店しきったら、次の都市で出店攻勢をかける。近隣都市に進出した方が、1週間に回れる都市が増えるので何かと便利ではある。スタートの都市がサンフランシスコなので、筆者はニューヨークやシアトルなどのアメリカの都市に進出していった。これは肌感覚であるが、東京や大阪に進出するよりも利益の絶対額も大きい気がしている。
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本当に完成度が高いゲーム
このゲームのすごいところは、会社のフェーズが変わるとプレイヤーの役割や使う機能も変わっていき、それぞれのフェーズで楽しめるポイントが用意されているところにある。
店長フェーズ:店舗の運営状況を毎週細かくチェックして、各店舗の収益性を確保するフェーズ
社長フェーズ:本社機能を作って組織的にチェーン全体の収益性を高めるフェーズ
オーナーフェーズ:カフェ経営で得た資金を元手に不動産投資やスタートアップ投資、スポーツチーム買収を楽しむフェーズ
公募増資や株式投資などのファイナンスプレイを駆使したら、もっと早く事業成長ができたのかもしれない、などと考えると、さらに2周、3周とプレイしたくなる。
、、、GWに始めて良かった。仕事に支障をきたすところだった。