亀裂の走る大地と静かな大地。僕の逃避と帰郷。それからカズオ・イシグロの提示する手段
昨年の秋に唐突に僕は、ある巨大SNSをやめた。日に日にどこか穏やかならぬクレヴァスが増長し、そこの空気が澱んできていたのだ。このままでは、いずれ大きなカオスが生じる。僕はあたかも、禍々しい天変地異を直観で察知して逃げたあの青い鳥みたいに、あの場から飛び去った。
その後、僕は自己表現のメイン・フィールドをnoteに移し、さまざまな記事を書いた。ここは安住の地。かつて跳梁跋扈していた威圧的な魑魅魍魎も、少なくともこんな記事を書いている限りにおいては、誰一人として現れない。そう思