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僕の読書記録

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僕個人の読書の遍歴。純文学系が多いかも
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記事一覧

自己紹介 (本好きな人に100の質問)

前の自己紹介があまりにも古くなってきたのと、このアカウントが読書メインの方向に固まってき…

猟 虎太郎
2か月前
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村上春樹と認識の幅と、そして靴ずれの改善

村上春樹作品に対する認識の変化実は最近、村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼…

猟 虎太郎
2か月前
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【読了記録】 『青い眼がほしい』(トニ・モリスン) 感想

恥ずかしながら僕はアメリカ文学をほとんど読んだことがない。 ヘミングウェイ『老人と海』、…

猟 虎太郎
2か月前
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【読了記録】 『貧しき人びと』(ドストエフスキー) 感想

前回トルストイの『アンナ・カレーニナ』を読んだのだが、実はその間ずっと僕の心の中にドスト…

猟 虎太郎
3か月前
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【読了記録】 『アンナ・カレーニナ』(レフ・トルストイ) 感想

今回も私事から入って誠に恐縮だが、僕はこの2ヶ月間noteにいなかった。 だがそれは本も読まず…

猟 虎太郎
3か月前
27

【読了記録】 『遠い山なみの光』(カズオ・イシグロ) 感想

カズオ・イシグロの作品を読むのはこれで三作目だ。 前に「この人の作品は技巧的に読むより感…

猟 虎太郎
7か月前
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【読了記録】 『クララとお日さま』(カズオ・イシグロ) 感想

個人的な話から入って恐縮だが、最近色々なゴタゴタがあり、僕は人間的な温かみや優しさを求めてこの小説を手に取った。そしてその選択は大成功だったと思う。 今日はこの小説の感想を、なるべく巻末解説と被らずに述べてみよう。上手にできるかわからないが、やってみる。 AF(友達ロボット)の一生をロボットの眼から詳細に描くこの作品はAF(人口親友)と呼ばれる、高度なAIを積んだロボットのクララが語り手だ。当たり前だが小説というものは人間の手によって書かれている。ここで多くの人がこう驚くの

【読了記録】 『日の名残り』(カズオ・イシグロ) 感想

ここ数日、多忙な日々が続いていたが、カズオ・イシグロさんのこの作品をようやく読み終えるこ…

猟 虎太郎
8か月前
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【読了記録】 『シッダールタ』(ヘルマン・ヘッセ) 感想

前にChatGPTに、「トーマス・マン『魔の山』はいい本だ。ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』は…

猟 虎太郎
9か月前
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【読了記録】 『魔の山(下)』(トーマス・マン) 感想

その文章ひとつひとつの言葉の中に、立ち止まって考えること3ヶ月、遂にというか、ようやくと…

猟 虎太郎
10か月前
13

【読了記録】 『魔の山(上)』(トーマス・マン) 感想

トーマス・マン『魔の山』の上巻を読んだ。正直なところこの本についての感想文を述べるのは難…

猟 虎太郎
1年前
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『貧しき人びと』を読んでいる。
流石はドスト氏!

『金持ちは貧しい人の貧乏の不平を嫌い、それ故に貧しい人は益々卑屈になる』
例えばこの箴言一つにしても、より一層真実味を帯びて現代の我々に迫ってくる。人間の本質を鋭く看破するドスト氏の文学は、多分百年後も色褪せることはないだろう。

猟 虎太郎
3か月前
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亀裂の走る大地と静かな大地。僕の逃避と帰郷。それからカズオ・イシグロの提示する手…

昨年の秋に唐突に僕は、ある巨大SNSをやめた。日に日にどこか穏やかならぬクレヴァスが増長し…

猟 虎太郎
4か月前
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村上春樹と太宰治の類似性と魅力、そして僕がこの二人を受け付けにくい理由

大学の話ではないが村上春樹氏の後輩なので、村上春樹が他人という気がしない(と密かに思っている)僕。だけど村上作品は肌に合うものが少ない。(以下敬称略) 今まで接してきた人を見て思うことなのだが、村上春樹ファンは太宰治ファンを兼任していることが多いようだ。どうやらこの二人には類似性があるらしい。太宰治作品も同様に僕には肌に合わない。 今日はこれらの理由の一部を模索していこうと思う。 読みやすい共通点をもつこの二人の最大の特徴はこれではないだろうか。 両者とも極めて読み進める