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僕の読書記録

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僕個人の読書の遍歴。純文学系が多いかも
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記事一覧

三島由紀夫と鈴木大拙を読みはじめる

noteを久しぶりに書くと勘が鈍る。これは前にも書いたとおりで、案の定、今もそうである。文章…

猟 虎太郎
1か月前
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自己紹介 (本好きな人に100の質問)

前の自己紹介があまりにも古くなってきたのと、このアカウントが読書メインの方向に固まってき…

猟 虎太郎
5か月前
57

村上春樹と認識の幅と、そして靴ずれの改善

村上春樹作品に対する認識の変化実は最近、村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼…

猟 虎太郎
5か月前
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【読了記録】 『青い眼がほしい』(トニ・モリスン) 感想

恥ずかしながら僕はアメリカ文学をほとんど読んだことがない。 ヘミングウェイ『老人と海』、…

猟 虎太郎
5か月前
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【読了記録】 『貧しき人びと』(ドストエフスキー) 感想

前回トルストイの『アンナ・カレーニナ』を読んだのだが、実はその間ずっと僕の心の中にドスト…

猟 虎太郎
6か月前
28

【読了記録】 『アンナ・カレーニナ』(レフ・トルストイ) 感想

今回も私事から入って誠に恐縮だが、僕はこの2ヶ月間noteにいなかった。 だがそれは本も読まず…

猟 虎太郎
6か月前
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【読了記録】 『遠い山なみの光』(カズオ・イシグロ) 感想

カズオ・イシグロの作品を読むのはこれで三作目だ。 前に「この人の作品は技巧的に読むより感性に任せて読むのがいいのではないか」と語った。だけどことこの作品に関しては、その技巧を味わうという読み方も大切なようである。 僕はこれを三日前に読んだ。その後にすぐ感想文の草稿を書いたものの、ここに清書するのがなかなか億劫で今まで渋ってしまった。だがそれは決してこの小説が前に読んだ二作より劣っていることを意味しない。 確かにイシグロさんの作品群の大きなテーマの一つだと僕が思っている、慈

【読了記録】 『クララとお日さま』(カズオ・イシグロ) 感想

個人的な話から入って恐縮だが、最近色々なゴタゴタがあり、僕は人間的な温かみや優しさを求め…

猟 虎太郎
10か月前
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【読了記録】 『日の名残り』(カズオ・イシグロ) 感想

ここ数日、多忙な日々が続いていたが、カズオ・イシグロさんのこの作品をようやく読み終えるこ…

猟 虎太郎
11か月前
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【読了記録】 『シッダールタ』(ヘルマン・ヘッセ) 感想

前にChatGPTに、「トーマス・マン『魔の山』はいい本だ。ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』は…

猟 虎太郎
1年前
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【読了記録】 『魔の山(下)』(トーマス・マン) 感想

その文章ひとつひとつの言葉の中に、立ち止まって考えること3ヶ月、遂にというか、ようやくと…

猟 虎太郎
1年前
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【読了記録】 『魔の山(上)』(トーマス・マン) 感想

トーマス・マン『魔の山』の上巻を読んだ。正直なところこの本についての感想文を述べるのは難…

猟 虎太郎
1年前
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『貧しき人びと』を読んでいる。
流石はドスト氏!

『金持ちは貧しい人の貧乏の不平を嫌い、それ故に貧しい人は益々卑屈になる』
例えばこの箴言一つにしても、より一層真実味を帯びて現代の我々に迫ってくる。人間の本質を鋭く看破するドスト氏の文学は、多分百年後も色褪せることはないだろう。

猟 虎太郎
6か月前
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亀裂の走る大地と静かな大地。僕の逃避と帰郷。それからカズオ・イシグロの提示する手段

昨年の秋に唐突に僕は、ある巨大SNSをやめた。日に日にどこか穏やかならぬクレヴァスが増長し、そこの空気が澱んできていたのだ。このままでは、いずれ大きなカオスが生じる。僕はあたかも、禍々しい天変地異を直観で察知して逃げたあの青い鳥みたいに、あの場から飛び去った。 その後、僕は自己表現のメイン・フィールドをnoteに移し、さまざまな記事を書いた。ここは安住の地。かつて跳梁跋扈していた威圧的な魑魅魍魎も、少なくともこんな記事を書いている限りにおいては、誰一人として現れない。そう思