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会話を続けるために~ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』第4回振り返り~(NHK100分de名著 2024年2月)
↓前回までの記事
連帯は、誰が聞いても認めうる原言語の形態をとってすでに待っていることが発見されるものではなく、小さき断片を手がかりに構築されなくてはならない。
この1文にもある通り、第4回は、「連帯」をキーワードに番組が進行していきます。
ここでいう「小さき断片」とは、「小さな共感や、一人ひとり個別の人間に対しての同情やシンパシーといったもの」(テキストp.81)を指しています。ローティは、「他者の苦痛に対するわれわれの感性を高める」(同掲)というところに文学の役割を見出したのではないでしょうか。
また、『偶然性・アイロニー・連帯』の第9章で、ローティは「連帯」について次のように述べています。
連帯とは、伝統的な差異(種族、宗教、人種、習慣、その他の違い)を、苦痛や辱めという点での類似性と比較するならばさほど重要ではないとしだいに考えてゆく能力、私たちとはかなり違った人びとを「われわれ」の範囲のなかに包含されるものと考えてゆく能力である。
「「われわれ/やつら」の線引きを行う」(第3回を参照)のではなく、拡張していくことの重要性がここでは説かれています。
自分とは異なる他者と共存していくためには、どのように会話を続けていけばよいか。
『偶然性・アイロニー・連帯』などの著書を通して、ローティの思想に触れることは、それについて考えるきっかけになり得ると僕は思います。
引用文献
↑本稿におけるテキストとは、ここからの引用を指しています。
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