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あんのこと

絶望的なはなし

人って何かを踏み外すとあっという間に転落してしまうんじゃないかって怖れを抱きながら生きてると思ってるのだけど
だからこそ、リスクを下がるために勉強していい学歴を手に入れて社会的地位を確保するするためにいい仕事に就こうとする

あらすじ

12歳で母親に売りを強要され、覚せい剤で捕まったあんに、そんな自ら選ぶ選択肢はない。刑事である多々羅は更生施設へ誘い、仕事も斡旋する
母親と離れることができたあんは、しばらく人並なふつうの生活を過ごしていたが、コロナになったり、あんとは関係ない周りの思惑があんをまた悪いほうへ向かわせる。。。

感想

見終わって。もしも○○じゃなかったら、あんは救われてたのか?
って疑問がいくつか浮かぶほど、悪い環境に向かってしまう
さいごに向かうシーンは、ホラー映画でなぜか地下室に向かってく主人公みたいに、絶対にそっち行っちゃダメだ!!って思いながら見てた。
あーバス乗っちゃったって。

ホワイト化社会(「清潔が正義」の見た目至上主義社会)みたいに、不正を許さない社会は、枠からはみ出た人たちのセーフティネットだった場所さえも破壊する。 例えば今回のフワちゃんとやす子のやり取りが逆だったら児童施設への支援ってどうなっていたんだろうとか思ってしまう。

弱くて選択肢が少ない人たちに救いは少ない。
誰かから必要とされていれば、人は生きていけるけど
でも、それをいいと思わない人や別の思惑や、もっと違うものがいままでよかった流れを断ち切ってしまう。

結局「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」なんて大それた目標は叶わないんじゃないかって、この映画のように全く違う思惑によって阻害されてしまうんじゃないか思えてくる。

貧困をテーマにした映画は少なくない
私が「あんのこと」を見て想起した映画


万引き家族


「万引き家族」だって救いがない。 ちょっと社会から外れて世の中のルールから外れてしまっていたけど、最後に世の中のルールが家族を引き裂いたって意味だとこの映画に近いかも

茶飲友達


「茶飲友達」ってちょうどコロナ禍でやってた映画が好きなのですが、
この映画も一時上手く生活できたけど世の中のルールに最終的につぶされる
(この映画も三面記事が元ネタになってる)

イージーライダーの二人の最後みたいに、それが世の中の摂理というか倫理観だって、映画では伝えざるを得ないのだろう。

どっちみち不条理さを見る物に感じさせる。
(うつ展開であっても、そう感じさせる映画は良い映画だと思う)

プレシャス


「プレシャス」って2010年のアメリカ映画も毒親から離れるまでを描いて、さらに自分の子供を守る物語だった。
毒親については、その後もいろいろな作品(芦田愛菜ちゃんの最初のドラマ「マザー」とか)でも取り扱われてるテーマだけど印象に残ってる映画

怒りの葡萄とかから貧困に関する物語は時代によって存在するが、解決策は見いだせないでいる。ベーシックインカムで貧困が防げるとも思えないし、人類の大きなテーマの何だろうなって思う。
平等が達成できてないのに、その派生課題の貧困が解決できる気がしない

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