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SDGs映画紹介『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』


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ファッション史上最悪の事故とも呼ばれてる「ラナ・プラザ」工場崩落事故から、いままで明るみに出なかったファストファッションの闇の部分について掘り下げていくドキュメント

ラナプラザの悲劇

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2013年4月 バングラデシュの首都、ダッカ郊外の商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落事故で1000人を超える犠牲者を出す。
「ラナ・プラザ」は27のファッションブランドの縫製工場も入っており、働いている大勢の工員たちは若い女性だった
事故前にビルにひび割れが発見されていて危険視する声があったが、建物の所有者は安全のための警告を無視。
労働者たちは「翌日まで帰宅するな」と命じられ、避難することもできず、それに従った結果、朝のラッシュアワーの間にビルが倒壊し尊い命を失う結果なった。

調査が進むにつれ、ラナプラザの工場が典型的なスウェットショップ(途上国などで労働者を低賃金かつ劣悪な労働条件で働かせる工場(搾取工場))であったことも明らかになった。
労働者の85%が女性で、低賃金で(1日3ドル以下)で働かされている。
グローバル展開しているファッションブランドらが、こぞって労働者を低賃金かつ劣悪な環境で働かせることをよしとしていたのだ。

事件後、ブランド側は「そんな状況にあるとは知らなかった」と責任を否定。業界における、サプライチェーンの透明化が叫ばれることとなった。

このドキュメンタリでは、グローバル企業の犠牲になっているのは、工場で働く労働者だけではないことがわかる

ファッション業界を取り巻く現実

グローバル展開している巨大なファッション業界の闇
 ①スウェットショップを強いられる工場の労働者
 ②モンサントに支配される綿花の農家
 ③服を作る工場が川に垂れ流す排水による被害
 ④着られなくなった服の膨大な廃棄物

から六価クロムなどの化学薬品が付近の住民の健康を損なう
 

①は「ラナ・プラザ」の事件でもずさん管理や低賃金で劣悪な労働環境が明るみに出た。

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②モンサントに支配される綿花の農家
綿花を作る農家では、モンサントの種子と「ラウンドアップ」
「Bt綿」という、綿花の天敵である蛾の幼虫が近寄らないように開発された遺伝子組み換え種子がインドでは政策によって市場のほとんどを占めているしかし、従来品の4倍もするし他の新たな害虫や立ち枯れ病が発生して、結果、大量の農薬を撒かなければならない。不作の翌年は高価な種子が買えず自殺者も増える

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③服を作る工場が川に垂れ流す排水による被害

インドのガンジス川支流のは沐浴や祈りの儀式を行う場所だが。工業排水が川にそのまま廃棄されている。服を作る工場では毎日、大量の化学薬品が使われる。下流の村では、六価クロムなどの影響でガンなどの健康被害や環境被害が広がっている。先天性の重度の麻痺や奇形などが産まれている。しかし、お金がないので、母親も子供の死を待つしか無い。

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④着られなくなった服の膨大な廃棄物

ファストファッションは一年もせずに飽きられて捨てられる大量の着なくなった服がまた途上国へ送られる。処理しきれない服は山積みにされ、もらった服で十分だと思うその国のアパレル産業は発展できない。

最後のほうで、クリスマスシーズンのお互いの様子を
音楽に合わせて交代に見せていく映像がとても象徴的です
 ・開店直後に殺到する大勢の客
 ・工場で靴磨く作る少年たち
 ・SNSでピンクの靴をもっておどける女の子
 ・無表情で工場の作業を続ける女性
 ・お店の商品に我先にと走る客たち
 ・川へ流される工場排水
 ・ランウェイを歩く美しいモデル
 ・山に乗せられてトラックの荷台に乗せられて工場へ行く従業員
 ・楽しそうに跳ね回る若い男女を撮ったCM
 ・赤ん坊を床に置き仕事を続ける母親

資本主義というシステムを変えないと、強いものはより強く、弱者は弱者のままになる
システムを変えなければ、その企業の意思はそのまま残される。
つまり、少数の役員と株主が同じシステムで働いているということは、
あなたが戦っている相手は、報酬と処罰の同じシステムパターンに従い、
遅かれ早かれ違う顔で戻ってくる
従って、彼らの条件を改善するやり方を止めてシステムに対処しなければ、戦いにすらならない。

感想

資本主義では、製品を安く作って競合他社よりも多く売るために、
もっともコストがかからない方法を極めていくために発展途上の国に無理強されている

さらに、分業化で細分化され、どんどん下請け企業に委託されるようになる
サプライチェーンへの責任も問われるが、細部については見えないような構造になっている気がする。
「エンジンの仕組みなんか知らなくて車は乗れる」し、「パソコンやスマホは買ってきたらすぐに使いたい」
この部品がどこで作られてなんて気にしない。
同じ様に会社間の関係もそうだろう。出来上がったものに評価はするけど過程についてはそちらの会社の責任となる。安い値段しか提示してこないのに…

中国の下請けの会社で使用期限切れ鶏肉を使っていただけで、マクドナルドの売り上げがガタ落ちしたり、不用意な発言でD&Gが中国から撤退するような時代なのだから、もっともっと明るみにでてくればやりようはあると思う。

でも、現実はそうでもない。同じ監督が今年「ラナプラザの崩壊事故の日」に合わせて(2021/4/24)YouTubeなどにその後を「ファッションスケープス:ア・リビング・ウェージ(原題:Fashionscapes: A Living Wage)」として公開している。最低賃金は少し上がったけど生活できるほどではない、今は行動が必要な時と説く


グローバル企業のいいような解釈で中身が薄いと言われるSDGsだけど、
その行動で考え方や生き方を変えることはできると思う。
どんどん加速していってほしい



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