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「素材」によるサステイナビリティへの挑戦


中野製薬株式会社 マーケティング本部設計・デザインで容器の設計や、販促物の制作を担当している入社22年目の「前川」です。
日々、ユニバーサルデザインやサステイナブル、コストのことを考え皆さまに喜ばれる容器を創造しています。今回はその中でもサステイナブルな観点でお話をさせていただきます。


地球にやさしい容器

一言で地球にやさしいといっても、いろいろな容器があります。
詰め替え容器もその一つです。小容量の容器に詰め替えて使うことで使い勝手もよく、スケールメリットもあるので化粧品に使われることも多いです。
この他にも素材に注目したものも増えてきています。例えばバイオマス原料(農林水産物、稲わら、もみがら、食品廃棄物、家畜排せつ物、木くずなどから生まれた有機性の資源)を使用したものや、ナノテクノロジーを活用して、焼却時に発生するCO₂排出量を約60%抑制する素材です。また、リサイクルや再利用ができる素材の選択も重要になります。

素材や容器を選ぶにも大切なことがあります。
それは、製品(中身)の保証です。一般的に化粧品の品質保証は製造から最低3年といわれています。それを保証するため中身の特性を理解しつつ環境への負荷を最小限にできるようにして、様々な条件のもとで容器と中身の相性テストを行います。
これをしっかりしておかないと、異臭や変色、容器に異常が現れてきます。
化粧品や医薬部外品の大切な成分や効果を守り、品質を維持することも重要な要素となります。最近、飲料で薄肉(ペコペコ)のペットボトルを採用している商品が増えてきましたが、中にはへこんでいる商品を街中で見かけます。仕事柄こういった商品はいかがなものかと思ってしまうのですが、皆さんはいかがでしょうか。

1本丸ごとエコ素材

一番ハードルが低いエコは、輸送ケースをFSC認証紙に変えることです。これは素材自体が変わらないから強度などのスペックが変わらないですし、多少のコストアップも1本当たりで計算すれば微々たる数値だからです。
そんな中、容器1本丸ごとエコに挑戦したのが「モデニカ ナチュラル M」です。もちろん、ケース類もFSC認証紙を採用しています、中身の品質保護も万全です。
この容器の特徴はキャップも含めプラスチックの原料に「ECO₂ (ナノテク添加剤[POLIPOLI])」が配合されていることです。これによって、焼却時の二酸化炭素(CO₂)を約60%も減少させることが可能になりました。当然、他と商品と比べるとコストアップになるのですが、そのあたりは不要な資材を削除するなど徹底してスリムな商品設計にすることでカバーしました。

合成紙ラベル

次に紹介させていただくのが合成紙ラベルです。
私は、以前に印刷会社に勤めていた経歴があります。合成紙との出会いはこの頃になります。当時は、森林を守る環境に配慮した「一般紙に代わる夢の紙」として一世を風靡していました。耐水性や耐久性に優れているため、水回りの商品ラベルやPOP、雨でも破れないショッピングバッグや選挙の投票用紙などに使われていました。
当然ながら、弊社の商品にもユポが使われていましたが、環境問題が森林保護だけでなく石油資源の枯渇やCO₂の問題が出てくると、リサイクルや分解処理が難しいとされる合成紙に代わるものがないかの課題が上がってくるようになりました。
大手の原紙メーカーも含め素材を探している時に、同じ合成紙メーカーからラベル素材の情報をいただきました。それは、PETボトルのリサイクル原料を使ったもので、CO₂排出量が約30%削減されている物でした。
素材が見つかったので、これからは印刷適性のテストです。ラベルは基本凸版を利用した印刷仕様が多いのですが、カラーの印刷も可能になるオフセット印刷においても、網点の滲みやインクの乗りなどを検証。他にも糊について機械貼付のテストなどを行ったうえで資材として採用することにしました。
弊社では「エモルテ」や「パワーディクト」のラベルに採用しています。PET ボトルリサイクル推奨マークを表示し生活者が環境配慮型の商品を選ぶ際の目印ともなるようにしています。

最後に

サステイナブルな観点で私の仕事内容をお話させていただきましたが、サステイナブルな商品開発は本当に難しいです。しかし、「パリ協定」では長期目標である気温上昇1.5度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を「2035年までに60%削減すること」が必要といわれています。
サステイナブルな容器を開発するためには、環境に優しいマテリアルの選択がとっても重要です。再生可能な資源から作られたバイオベースマテリアルやリサイクル可能なプラスチックなど、持続可能性を考慮した素材を使用すること、そして容器(資材)の軽量化や最適化は、廃棄物の削減とエネルギー効率化にもつながります。
これからも、容器(資材)の設計段階から形状を最適化し、必要な素材の使用量を抑えることを心がけていこうと思っています。
従来の容器と比べて追加のコストがかかる場合がほとんどですが、サステイナブルな容器開発が経済的にも持続可能であり、効率的に製造できるような仕組みができればと思います。

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