全国高校サッカー選手権を観て思うことがある。
ちょうど今、巷では冬の風物詩、全国高校サッカー選手権で盛り上がっている。
私が普段あまり陸上や野球を見ないのにも関わらず、箱根駅伝や甲子園を見たことがあるように、おそらくサッカーに興味がなかったとしても選手権は見たことがある、あるいは全国高校サッカー選手権だけは毎回見てるそんな方も多いのではないだろうか。
第100回を迎え、決勝の来場者は5万人、毎年通算来場者30万人を超える
そんな毎年注目を集める全国高校サッカー選手権(以下選手権)を観て思うことがある。
Jリーグが現在30年。選手権の方が歴史が長く注目を集め、プロも多く輩出していることから、選手権出場を夢にする選手たちがいまだに多くいる。
魂のこもった未完成な青年のプレーと、そこにたどり着くまでのストーリー、ドラマに多くの観客が集まる。
見事に選手権が注目される構造は容易に作られる。
文化や、流行などの多くはメディアによって作られている。
さて、私が選手権について思うことはこの構造に対する疑問である。
決して批判したいわけではないが、より良い未来を作るためには当たり前に露出される未完成の青年たちに疑問を持つ必要があると思うので、ここで話していきたい。
疑問を持つ理由はいくつかある。
①燃え尽き症候群
正月になるとテレビで大舞台でプレーする姿を見せられた子供たちはあの舞台に大きな憧れを抱く。
そしてその舞台に立つことを夢にしたサッカー人生を歩み、ピークは18歳に持ってこなければいけない。
その結果何が起きるか
若年性燃え尽き症候群(アウトバーン)だ。それは隠れた社会問題となっている。
そして、若干18歳の未完成の青年たちの大敗やミスすらも世間に公開される。
これが18歳の青年が目指す世界であり、給料が発生するわけでもない。
これが健全な影響を与えるだろうか。
これを美談にしていいとは思えない。
メディアに視聴率が取れるからとヒーローに仕立て上げられていないことを願いたい。
②2年半という育成期間
これは育成における疑問である。
3年間という限られた期間。
実際には2年半といったところだろうか。
この限られた期間が、コンテンツとしては感動を呼んでいるわけだが、育成に関してみたらどうだろう。
選手権の試合を見てみると、戦術的に未熟なチームがほとんどだ。
もちろん完璧である必要はないが、あまりにも未熟なチームが多い。
勝つために2年半で仕込むというのはあまりにも短いのだ。
だから俗にいう根性論や、短期的に勝てるチームづくりがほとんどになり、結局いい選手が集まったチームが勝つことになる。
これは世界のプロの世界でも言えることだからしょうがないのかもしれないが、勝ちの水準を高くする上で、この構造はいかがなものだろう。
③日本のサッカー市場
選手権1回あたりの通算来場者数は約30万人。
これが統一で5000円のチケットだった場合、1大会あたり150億の売上が出るという計算ができる。
5000円だったら行かないとかそういうことは抜きにして単純計算で億を超える。
それに加えて、テレビ局の収益を合わせると、かなりの額をこの全国高校サッカー選手権というコンテンツが生み出すことができる。
このくらい大きな市場を抱えているにもかかわらず、部活動に対するちょっとした補助のみでほとんど資金は出されていない。
これが日本のサッカー市場のバランスを崩しているのではないかと思う。
テレビ局などのメディアは、プロであるJリーグよりも格安で取り扱える上に、視聴率もいい。
だからここまで全面に押し出すのではないだろうか。
このように、まとまらない文章で簡単に疑問をあげてきました。
ご存知の方も多いとは思いますが、スポーツというのは大きく「みる、する、支える」という三要素で成り立っています。
今回挙げた疑問を解決していくことができるのは支える側に立つ人間です。
感動的なものを見て感動するのは当たり前ですし、すごい舞台を見せられたら憧れます。
それらをコントロールできるのは支える人たちのみです。
もちろんこの全国高校サッカー選手権という伝統のある文化の良さも十分に理解しています。
しかし、ただ脳死状態で文化に従っていくだけで、日本のサッカーは世界を相手に戦い続けることができるのでしょうか。
少なくとも私は、全国高校サッカー選手権以上に魅力的なコンテンツとしてプロを見せていきたいし、そこを目指す選手たちが増えてほしいと思っています。
あまりにも多くの犠牲と引き換えに得られるものが18歳の選手たちにとって少なすぎるのではないかと私は思うわけです。
そして、メディアは無責任に彼らの未来を潰すことができます。
その片棒を知らぬ間に担いでしまわぬように、私は動いていきたいと思います。
賛否両論あると思いますが、色々とコメントなどで意見をいただけると嬉しいです。
◯Twitterはこちら
○過去の記事はこちら
この記事が参加している募集
最後までご覧いただきありがとうございます。 サポートしていただいた資金は日本のサッカー界の未来のために使わせていただきます。