HOLON|St Matthew Passion
毎年の聖金曜日に、格別な感慨を持って鑑賞するバッハ《St Matthew Passion|マタイ受難曲》へ、オマージュを込めて制作したタイポグラフィ作品をご紹介致します。
これまで、録音やコンサートホールで幾度となく聞いてきた《マタイ受難曲》——2012年の大斎節に東京オペラシティで鑑賞した、聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団の一夜を超える演奏に、以降出会っていません。
古い録音のようにゆったりと始まった演奏、澄んだ合唱は少年と青年による男声のみ、アルトのパートは内省的なカウンターテナー、そしてイエスは清々しいバリトン。禁欲的なソプラノも素晴らしく、一点の曇りもない、奇跡の一曲でした。
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リトグラフ作品|St Matthew Passion
思い入れ深い楽曲を、はじめて作品化した一作は、文語訳「マタイ傳福音書」より「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」を綴っています。「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか(聖書協会共同訳)」という意味で、イエスが十字架の上で息を引き取る直前に叫んだ言葉です。
選んだアルファベット書体は、ゴシック建築の教会を彩る薔薇窓をイメージして制作した「薔薇窓」——薔薇窓から差し込む美しい光に、イエス様の嘆きを重ね、哀歌としたタイポグラフィ作品です。
「エリ エリ」=「ERI ERI」という風に、日本語をアルファベット書体で「ローマ字組み」しています。手袋のガントレット(濃灰色部分)にキラキラと模様のように見えるのが、書体「薔薇窓」で綴った聖書の言葉です。
本作は、HOLON タイポグラフィ作品展《スクリプトリウム〜聖書の言葉を写し、纏う試み(2013年・森岡書店)》で発表。「纏う試み」として、手袋やケープ、ドレスやマント、小袖雛形に聖書の言葉を構成した作品群のうち、手袋モチーフの一作。薄墨色のキャンソンエディション紙に濃灰色一色刷りのリトグラフ作品です。左下にサイン・限定ナンバーと共に、刻印が押してあります。
本作には、「薔薇窓」の書体見本(辞書)も付属します(下記画像)。上から、「A B C ...」と順番に配置されています。ぜひ辞書を使って、聖書の言葉をみつけて下さいね。
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作品名|St Matthew Passion
リトグラフ(濃灰色の一色刷)・キャンソンエディション紙(薄墨色)
作品サイズ|27.5cm×19cm
シートのみ・限定25部・限定番号入り
2013年
オリジナル・アルファベット書体「薔薇窓」の辞書シート付き(ファブリアーノロサスピーナ紙にデジタルプリント)
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