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どんこを配りたい
文フリに持参する、大切なものを忘れかけていた。
お菓子だ。
文フリでは、ご当地銘菓をはじめとするお菓子が飛び交うらしい。お菓子を忘れてしまったら、肩身狭すぎてコートがずり落ちる所だった。
早速今日、おらが町宮崎の特産品を売る店に行き、お菓子を吟味していた。
……が、私はひとつの衝動を抑えるのに必死だった。
どんこを配りたい。
どんこを1個ずつ、小さなセロハン袋に入れ、ファンシ〜なリボンをかけ、カゴに入れてばら撒いて廻りたい。
バレンタインデーに女子中学生が配るトリュフのような見た目の干し椎茸を配りたい、キノコだけに。
どう考えても、宮崎民が他県民に献上できる最高の品は、どんこなのだ。
軽く、保存もきき、何にでも使え、この世の全員に愛されている、どんこ。その頂点が、おらが町にはある。
(正確には、おらが県内にある山あいの町)
今年の正月、我が家では過去最高のどんこを使った。それがこちら
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高めのポップコーンに見えるだろ。
椎茸なんだぜ、これで。
水で戻すのにえらい時間がかかった。しかし、その戻し汁は命の水。最高のダシが取れる。
そして、煮物となったそのお味。ひと口食べて私は思った。
「これ……キノコじゃん!」
美味すぎてイカれたかと思われただろうか。だが、真実である。そしてあなたも、きっとこの感想を抱くだろう。マジキノコ。ガチキノコ。干されて一旦水分を抜かれたにも関わらず、アヒージョにしたマッシュルームと遜色ないくらいの、マジキノコぶり。
県外の人に会う度に、そのためにお土産を選ぶ度に
(あぁ……本当にオススメなのはどんこなのに……)
と歯がゆい気持ちになる。
私も一旦は県外で暮らした身なのでわかる。
ノーモーションでいきなりどんこ渡されたら「おぉん」であると。
あと、「煮物作れよ」圧だと思われかねない。
別にいいんですよ、煮物じゃなくても。
煮物以外にも……ほら…………
煮物しか無かった。
ただ、「かつてないほど美味い煮物」はできる。
本当に驚くと思う。
私ですら「今まで食べていたどんことは何だったのか」と思ったくらいだ。
どんこ初級の方は、二度と外で干し椎茸食べられなくなるかもしれない。そう考えるとなかなか罪深い。
お願いがある。
今後私とリアルで会う方々。事前に「私はどんこいけるクチですよ」と言って欲しい。
ポータビリティ的にも、本当に助かる。
なお、「レターパックでどんこ送れ」は、割れる可能性があるのでお応えしかねる。
よろしくお願い申し上げます。
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