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商業出版とは「買ってもらう」以前に「売ってもらう」こと【文フリ準備】
2025/1/19開催の文学フリマ京都9、ブース番号発表。カタログ公開。
幣サークル「みもすそ文庫」は、う-21です。
幣サークル「みもすそ文庫」は、う-21です。
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幣サークル「みもすそ文庫」は、う-21です。
カタログはこちら。
https://c.bunfree.net/c/kyoto09/!/%E3%81%86/21
さて、ブース番号も出たところで、無配の冊子やステッカーを発注し、いよいよ準備も佳境……かと思いきや、カタログ公開当日の沸き方を見て、「ここからのSNS戦略が勝敗を分けるようだな……」と戦々恐々としています。
ここからが純粋な売るための努力の始まり。
これまで、文フリ準備シリーズのnoteを書いたり、さらにはそれを製本して当該文フリで売っちゃう準備をしたり、装丁に悩みまくったり、布選んだりしてきました。
私はこれらを、売れたさ半分・楽しさ半分で、否、はちゃめちゃに楽しんでやってきました。
販売する作品を入稿し、販促グッズもあらかた発注が終わった今、やれること。それは営業です。SNSでの宣伝活動です。営業は、前述の売れたさ半分の制作作業とは違って、純粋な売れたさだけでやる活動です。
営業をしなくても、このまま文フリ当日を迎えることはできます。
でも、こちとら九州の片田舎から、えっちらおっちら京都まで行商に行くわけです。家族に「すまんね、私だけ楽しんできますわ~」とか言って、飛行機使って行くわけです。
いやそもそも、文フリに出店すると決めた理由が、「名も知らぬ人が目の前で私の作品を購入する様を目撃したい」なのです。
売らずに帰れるわけがない。京都に住民票移すぞ。
そういう訳で試行錯誤しながらXやnoteで宣伝している訳ですが、ひとつ気付いたことがあります。
創作大賞で中間通った作品と落ちた作品の違いが分かった(気がする)
今回私が販売する主力商品の小説文庫本2作は、いずれも創作大賞2024応募作です。
フォロワーさんはもう散々聞いてるよって話だと思いますが、説明させてください。
「針を置いたらあの海へ(以下、針を)」と「町中華屋のマイコー(以下、マイコー)」は、本編と続編の関係にあります。「マイコー」はすでに改稿したのですが、当初は「針を」と同じく、主人公はレオという青年でした。
しかし、創作大賞において、中間選考通過したのは「マイコー」だけ。
同じ世界線、同じ設定、同じキャラクターの作品を2本応募し、ボリュームもスキ数も圧倒的に少ない続編だけが残った。
何故?!
まぁ連作短編だし改稿しやすいからかな~とか、色々考えてはいたのですが、この文フリ準備期間を経て、その理由がはっきり掴めました。
売り出し方が見えるか、そうでないか
これ。
個人的には、2024年7月末時点では、「針を」の方が作品としてのパワーはあった、と思うんです。粗削りだし結構ジェットコースターな展開ですが、一文一文が「どやさ!」「どやさ!」って言ってるんですよね。
しかし、SNSで宣伝するにあたって、これを「わー買いたいな、読んでみたいな」と3秒間で思わせるように売り込むことはとても難しい、と痛感しました。
読んだら面白いから読んでみて、じゃダメなんですよね。
「針を」がnoteでこれだけ読んでいただけたのは、私の力以前に、感想記事を書いて下さった方々のお陰なんです。私より遥かに発信力も分析力もある方々が、意図せず売り込んで下さっていた、という現象が起きていたのです。しかも、皆さんはあの長い長い(11.5万字)小説を読みこんで下さった。だからこそ、感想記事にとてつもない影響力があったのだと思います。
しかし、作者である私本人の言葉で「めっちゃいいから読んで!」と言っても、「そりゃ面白いんだろう、お前の中ではな」ですよ。
「めっちゃいい」以外の、読んでみよっかな~という動機づけになる情報を提示しなければならないのですが、これが難しい。何せ長い話ですし、ニットもタトゥーも別に興味ない人には引きは無いですから。展開も、前半はほっこりハンドメイド話かと思いきや、後半人生賭けてますからね……一言で「こうです」と言えない。これはしんどい。売りづらい。
マイコー、売れるかは分からんが非常に売り込みしやすい
対して「マイコー」は、めちゃくちゃ説明しやすい。
「男性カップルが町中華屋の全メニュー制覇を目指す話です」
「歳の差エロ無しほっこりBLです」
「飯テロ連作短編です」
「国民の甥っ子みたいな可愛い男子大学生の成長物語です」
「主人公の悩みや成長を中華料理になぞらえた11話の連作短編です」
なんか下世話感ありますが、キャッチフレーズ作りやすすぎる。そして、これだけで皆さんも何となく内容分かるのでは。
Xでの宣伝用に画像を何パターンも作っていますが、「マイコー」はこんなものも作れる。
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作中で登場した料理を、メニュー表のように並べました。
細かく文字を見ずとも、半端ない量の料理が登場することだけは伝わると思います。途中しれっと水素水とか混入してますけど。全部で46品ありました。
「食モノ」という時点でもうひとつのジャンルですし。
営業にはコストも労力もかかる
これまで書いてきたことは、正直作品の本質には関係のないことです。売りやすい「マイコー」が、「針を」より優れているかはよく分からない。なにより、蓋開けてみてどっちが売れるかも分からない。
しかし、この文フリ準備期間で、純粋な売るための作業である営業活動も、売りたさ半分のグッズ制作やデザインも、相当に労力がかかるということはよく分かりました。
これ、自分の作品だからやる気も出るし、外注せず自分で作業するから費用もタダですが、商業作品として出版社がやるなら、デザイン費も人件費もかかります。それ以前に、これをどうやってプロモーションしていこうか、という戦略の策定の段階からお金が発生します。
商業出版をめざす場合、「買ってもらえるかなぁ」以前に「売ってもらえるかなぁ」ということを考えなければならない、と気付きました。
「宣伝の労力に見合う売り上げを取れるか」は、売れるか、と同時に、無駄に労力のかからない売り込み方が出来るか=売り込み方がイメージしやすいか、も含まれているんじゃないか、と思ったのです。
これは、来年も創作大賞チャレンジしたい身としては、良い学びだったと思います。
ひとさまに商品にしていただきたいなら、自分で一旦商品にしてみる。作る人でありながら、売る人にもなってみる。そうすると、分かることがある。
店頭に並ぶまでにかかる労力は、執筆とそれ以外で3:7ぐらいだなと思いました。これは私が書くの速い上にアホみたいに装丁に時間と手間をかけたからかもしれないけれど。
この準備期間の大変さを経たうえで、実際どちらがどのくらい売れるのか。どういう結果に転んだとしても、他人事みたいですがとても興味深い、と思います。私の予想では、少なくとも会場では「針を」はそんなに売れないと思う。笑。
ごめんね「針を」ちゃん。私は君を愛している。でも、売れるかは自信ない。
「マイコー」。君も愛している。お前は、なんか行ける気がする。
「針を」、「マイコー」君たちはどっちも凄く面白いよ。涙。
どうにか売れるように、今日もXでの宣伝活動頑張るね……。
だから、この記事も書いてみたよ……。
最後にもう一度宣伝します!
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ふたりともとってもよいこです!!!!
よろしくおねがいします!!!
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