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1999年の旅日記(9)〜小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド〜寝台列車でロンドンへ

昔の旅の記録をたまたま見つけてここに転載している。
トラブルばっかりの旅の始まりはこちら。

スコットランドから乗った寝台列車は、ドアをガシャンと開けて入る部屋形式で、車窓から見た景色はしみじみと素晴らしく、この景色を永遠に眺めていたいから、ロンドンに着くまで寝なくてもいい、と思ったのに、揺られる列車の音と疲れで一瞬で寝てしまった。
この思い出があるから、今でも寝台列車への憧れが強い。

スコットランドからロンドンまでは電車で7時間半〜8時間くらい。
1日を移動に費やすなら、寝台列車で一泊すれば何もかも上手くいくと思った。

寝台列車は発車時間が遅いので、一人旅の場合は少し注意が必要。

今ならスマホやデジカメでいくらでも写真が撮れるけど、当時は感覚が今とは違っていたので、それほど写真が残っていない。
記録を文章で残していなければ、旅の途中は忘れてしまっていたことばかり。



1999年9月1日(水)

無事にスリーパーに乗った。外国映画で見るような寝台列車は内装も車窓も素晴らしい。
揺られる列車で寝ているうちにロンドンまでやって来た。
朝6時に頼んでおいた朝食が届いた。紅茶・ワッフル・オレンジジュース。
寝ぼけているうちにロンドンユーストン駅に着いた。平日の朝のユーストン駅は出勤ラッシュ。
テキパキと動くビジネスマンに混ざって、ボケボケしながら地下鉄に移動。

スコットランドでの寒さが嘘のようにロンドンは暑い。
ユーストンからグリーンパークへ来た。バッキンガム宮殿を見てみようと思った。
グリーンパークのチケット売り場でチケット購入。
スコットランドの英語は難しくて何言ってんだか分からなかったけど、ロンドンはわかりやすくて、なんだか故郷のよう。と言ってもロンドンに滞在するのは初めて。

バッキンガム宮殿は美術館のようで、すっかり時間を忘れて見入ってしまった。
私は朝早く来たから分からなかったけど、外に出てみたら、どこもかしこも人でいっぱい。
赤い制服で黒い大きな頭の衛兵の行進があるのだ。
11:30〜と書いてあったので油断した。

衛兵の行進を遠くから小さ〜くみて、気が済んだので地下鉄でベーカーストリートへ。
ベーカーストリートから乗り換えてパディントンベアで有名なパディントンへ。

パディントンは大きな駅だからホテルもあるだろうし、空港へいくにも便利だろう。
インフォメーションでホテルを予約した。
グラスゴーでのB &B体験のせいで、迷わずホテルと言ってしまった。
しかし悲しいことに金額に制限をつけたらば、ホテルとは名ばかりのやっぱりB &Bなのだ。でもここは淋しくないし怖くない。
ロンドンで一泊6,000円程度のホテルならまあこんなものだろうと思う。
シャワーも部屋についてるし、テレビもラジオもある。

部屋はおそろしくボロくて傾いている。
壁につけられた棚も浮いている。ナナメだから。

シャワーも私より大きな人は相当キツイだろう。
部屋のカギにはガムテープで部屋番号がくっついている。
歩くたびに床がきしむ。さすがだ。

さっきシャワーを使ったら、水の方からお湯、お湯の方から水が出た。
私はNOと言える日本人だが、多くは望まない日本人でもあるので、ほっておく。


街へ出て散策した。迷子になったけど、そのおかげで駅までの近道を発見した。
明日はこれで楽に駅まで行けるはず。
色々買い物をして、お土産も買って、足がくたびれたので帰って来た。
黄昏時に窓を開けてボーッとしていたら、どこかからゴスペルが聞こえてきた。
教会も見える。ピアノの音も聞こえる。
しばらく聞いて、これで私の旅の締めくくりかな、と思う。

またマニラに行くようなことがなければ・・・。


明日から長い移動になるので、ゆっくり休もう。
昨日ピアノが弾けずに苦しむ、という夢を見て苦しんだ。

音楽といえば、佐野元春を持ってきたのは我ながらとても良かった。
佐野元春といえば、香港のモウ・インが言っていたけど、香港では福山雅治が大人気らしい。

ここは空港に近いせいか、飛行機がいっぱい飛んでいる。
只今、空が大変混み合っております。





もうすぐ帰国の途に着く日記。
書き写しているうちに、2024年の私もいつの間にか旅をしていたようで、終わりが来るのが淋しくなってしまった。


次回「ロンドン旅行のドレッドヘアー」の巻





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