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1999年の旅日記(8)〜ホラータウン・エディンバラで人間観察

25年前の旅の記録をひょんなことから見つけて読んで、忘れていたこと多数だけど、鮮明に覚えているのはエディンバラで不審な男に付きまとわれて怖かった事。
トイレもいけず、見ず知らずの旅行者の側にいさせてもらい、1人にならないようにした。

日本人は若く見えるらしく、田舎の方に行くと、善意の人は「日本人の子供が1人で旅行している、次のバス停で降りるのよ」など世話を焼いてくれるが、一つ間違うと「子供が1人でいる」になってしまう。

イギリスでは、子供の外出にはとても慎重で、友達の家に遊びにいく時でも、親が車で送ったりしていた。

エディンバラのこの時、私は29才だったのだけど、10代にみられていた。
実際、19才の女の子が「私は19才だけどあなたは何才なの?」「1人で来たの?えらいねー」と完全に子供に話す感じで聞かれた。

クリス達と行ったパブでも、未成年にお酒は出せない。本当に20才以上なのか?と信じてもらえず、パスポートを見せて店員を驚かせたりした。

これで29才だなんて申し訳ない、という気持ちは常に持っていた。



1999年8月31日(火)

朝イチでエディンバラまで移動してきた。
この間と一緒ですごく大勢の人がいる。
広場に座って休んでいたら、ダニエル・グリーンと名乗るおじいさんが話しかけてきた。おじいさんの家では普段からホームステイを受け入れていて、日本人や韓国人もいると言った。今日も日本や韓国に送る手紙を出しに郵便局へ来たのだと言う。
駅の説明をしてくれて、紅茶とドーナツを買ってくれて、スコットランドのブレイマー人形のキーホルダーをくれた。
おじいさんと別れてから、1人で買い物をしたり、建物を眺めたり、しばらく観光した。
メインストリートはたくさんの店が並ぶ長い長い道で、飽きることなく色々な物が見られる。グラスゴーと違って明るい雰囲気。

本物のブレイマーも見たし、タータンチェックのスカートも買った。
歩き疲れたので、駅のベンチで休んでいる。今はエディンバラの駅の中。
これからスリーパーが来るまでここで待つ。

あと3時間以上ある。日が暮れて来て少し寒いけど、Tシャツで歩いている人もいる。
ここの人たちは座れば食べる。
チョコレートバーやサンドウィッチ、コーラ。
座ってなにも食べない人の方が珍しい。

お米に名前を書いてキーホルダーやネックレスにしてくれるお兄さんに、ネックレスを作ってもらった。
米粒に書く細かい作業が面白くて見入ってしまった。

お土産も買おうと思ったけど、これといったものが思いつかなくて、結局なにも買っていない。ロンドンに着いたら考えよう。

私の近くに座っているおじさんはエブリーバデープッチン!のプッチンプリンがとても似合いそうで、考えていたらおかしくなってきた。

変なおばさんもいる。
駅のベンチ前に公衆電話が10個並んでいる。その10個の電話のコイン返却口に手を突っ込んで、コインが残っていないか探し続けている。
5分おきにやって来て、10個の電話に手を突っ込んでいる。
見てる限りでは1回だけ収穫があったらしい。子供が立っていたら、むりやり押しこくって体当たりでどけていた。なにがなんでもコインを探す。
私はこの人をルッキンフォー・アンアウントと名付けた。

男が、口を縛ったビニール袋を1つだけ持ってウロウロしている。
私が移動したらついてきた。ちょっと気持ち悪い。
私のこの細い目で睨んでも怯まない。怖くなったので、駅のベンチからバーガーキングに移動した。男は店の外から私がいることを確認したのがわかった。
外人さんの男性2人組の隣にいさせてもらう。
トイレに行きたいけど、駅のバーガーキングなので、店内にはトイレがない。
エディンバラ駅のトイレは有料。裏を返せば、お金さえ入れれば誰でも入れる。
駅のトイレは今は危険。
駅の見回りに来た警察官に怒鳴られて出ていった。常習なんだろうか。やっとホッとした。





エディンバラは街の歴史から幽霊や魔女などの逸話が絶えず、ホラータウンとしても有名だった。しかし、観光客がとても多く賑わっていて、雰囲気は陽気で明るい。私にとっては、毎晩何かが起こるグラスゴーの方がホラータウンだったような・・・。


次回「深夜12時発の寝台特急でロンドンへ」の巻


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