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綿の国星のちびネコが好き #猫と創作
最初読んだとき、なんて斬新なアイデアだろうと思った。
擬人化された子猫、チビ猫の目を通して見た人間模様が描かれた漫画。
掲載されたのは1978年5月号から1987年3月号までの少女向け漫画雑誌で、
今から思うと、こんな発想ができる作家の大島弓子さんは大したものだなあと思う。
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第1話の冒頭に「私は自分を人間だと思っているので、この姿で登場します」というチビ猫の台詞があり、チビ猫は白いエプロンドレスを着て、髪の間から猫耳をのぞかせ、スカートからしっぽを垂らしたた少女の姿で描かれる。
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上記は子猫のチビ猫が初めて電車を見たときの驚き。子猫の目線に立てばわかるな〜という気がする。
チビ猫は須和野一家に拾われて、その家ネコとなるのだが、須和野 時夫(すわの ときお)という18歳のキャラクターとの交流が興味深い。時夫は大学受験に失敗してノイローゼ気味、自暴自棄になっていたが、チビ猫との出会いにより変わっていく。
時夫の母、ふみこは猫が嫌い、というより猫が怖い恐怖症がある。
チビ猫がある日家を出て、行方不明となり、家族みんなで探していたときに最初に
チビ猫を見つけたのが、時夫の母、ふみこだった。
ふみこはおそるおそる、チビ猫のそばへ行き、チビ猫を抱き上げるのだが、そのシーンの美しいこと。子供の時これを読んで泣いてしまったのを覚えている。
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ラフィエルは、美貌の雄猫。妖艶で知的、チビ猫の憧れの猫。その
人生論には奥の深いものが。
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こんな素敵な漫画が40年も前に存在したなんて、日本の漫画文化はさすがだ。
ちなみに作者の大島弓子さんは文化勲章・文化功労者を受賞している。マンガという表現メディアに素晴らしい可能性があることを示した、稀有の作家の一人に間違いない。
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