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成田悠舗氏の話す技術とその背景にあるもの
まず初めに、すごい話し方とは小手先の技術ではないということ。オレンジを切ったらオレンジの果汁が出る。スイカの果汁は出てこない。つまりその人の普段考えていることや価値観が、その人の構成力によって表現されるのであって、ツケヤイバで高度な話し方に到達できるものではない。
それを前提にして、成田悠舗氏の話し方について、自分のメモ代わりに考察した。
とある有名人と対談していた成田悠本舗氏の、相手との距離感が興味深い。話題にのめり込まずに、常に一定の俯瞰的な距離を持っている。冷静であるとか、醒めてると言ってもいいかもしれない。
「間」の取り方が上手な聞き方
相手の話しをよく聞いて、うん、とひとまず答えてから間を置く。そうすると相手はそのまま話し続けねばならないように駆り立てられて、ベラベラとしゃべり続けるので、自分は無駄なエネルギーを使わずに済む。
文章の構築に無駄がない
曖昧な語彙がない。対談の相手が「なんていうか〜」「なんかそういう」曖昧な言葉を連発しているのに対して、成田氏の話し方には無駄な言葉がない。適切な言葉を選んで濃い内容を短いセンテンスで話す。センテンスはひとつひとつが、きちんと区切られて、だらだらと続かない。つまりそれぞれのセンテンスが端的で内容の濃度は濃い。
擬態語・擬態語を多く使わない
さらに「ギャーギャー」「バンバン」などの擬態語・擬態語を多く使わず、それに変わる適切な形容詞を語彙を選択している。「あのー」「なんかさー」などと必要のない言葉を使わず、ズバリその言葉を放つ。話しに無駄なコロモ(天ぷらの衣のような)がない。
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体の軸がブレない
身振り手振りも少ない。目がキョロキョロしない。顔をあまり動かさずに話す。ノンバーバルコミュニケーションが上手。
そして話題の方向転換がスムーズ。相手に思い切りしゃべらせて、そこの一部の内容をピボットにして、さっと話題を切り替える。相手の面白くもない話題にいつまでも同調しない。相手に絶対迎合しない。
相手を自滅させる会話
合気道は相手の体に触れずに、相手の力を利用して相手を倒す。成田さんの会話術にはそのような類似性がある。相手にどんどん話させておいて、その相手が自分で墓穴を掘っていく様子を眺めて楽しんでいるようだ。
ゲーム感覚で遊び心がある
成田氏の話し方はアメリカの旧大統領オバマに類似している。理論整然としていて、チャ目っ気があり、ユーモアと遊び心がある。それでも論点の軸がブレず、最終的な論点や説得に至るまでの過程が、名士と言われる棋士に似ている。最初から何手も先を読んでいるのだ。
話題をダイバートするのがうまい
自分が話したくないことに水を向けられた時は、話題をダイバートできる。例えば、日本のグランドデザインについてどう思うか、と質問されて「グランドデザインなんて考えなくていいんじゃないかという気がする」、「グランドデザインとか社会としてのビジョンとかインベーションとか、日本の強みにならなない」と一旦区切る。そこから「そもそも日本の強みとは。。。」と自分の話したい内容に方向転換するのがうまい。これはアメリカのデキる政治家が得意とするところ。要するに話しの水路を自分の畑へとさらりと変えてしまう技術だ。
語りすぎない、追い詰めない
明らかに相手と知性の差がありすぎる場合も、お手柔らかに、相手を追い詰めないルールを徹底している。クレバーで愛嬌のある言葉と笑顔で、雰囲気を丸くし、視聴者を魅了してしまう。
フレームワークが広い
対談相手が自分のフレームワークの中でしか話を理解することができないのを感知すると、それを諭すでもなく、自然に話題を違う方向にリードしていく。成田氏のフレームワークはもっともっと広大なのだ。そしてその中で自由に情報が行き来して、対象として比較され、関連づけられ、そして結論へと導かれていく、その思考過程がスムーズである。
成田氏の英文の論文に以下のようなものがある。
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「一致または不一致:学校選択における学習と慣性」と題されたこの論文は、一元化された学校選択マッチング市場の影響と、NYCにおける家族の学校選択の需要の変化を述べている。
社会の側面を切り取って、統計的に分析するのがご専門のようで、昨今は民主主義的な国ほど経済成長が低迷していることを数字で証明するような研究もされているようだ。
日本でバズる言葉を発している成田氏とはちょっと違う側面を垣間見たようだ。
最後に名言を。
「感じたものをポロッと出しているようでいて、実はそこに至るまでの論理、筋書き、思考を煮詰めていくプロセスがあればあるほど、最終的に出てきたものがいいものになる」
これは何だか一流の料理人の哲学と、思想家のアウトプットのプロセス、これらそれぞれの真髄が、類似しているようだと思ったのだった。
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