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英語の名詞②-0a:冠詞(前半)[不定冠詞・定冠詞・無冠詞](学校英語の復習&英語史+α)

中学高校の学校英語のおさらい&整理し直し

中学と高校での英語習得が不十分な人のために、学校英語の復習を記事化しました。冠詞の理解に特に必要な英語史の視点を一部付け加え、学校英語で説明不足の点を補うような解説も散りばめておきました。今後も少しずつ説明を追加・修正していく予定です。長くなったので前半・中盤・後半に分け、残り部分は別記事で。

この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。

❶冠詞の予備知識と分類:大きく3種類に分類(定番説明)

0. 3種類の冠詞とその共通点:不定冠詞、定冠詞、無冠詞(冠詞なし)
  a. 冠詞は名詞の前に置き、後に続く名詞の性質を示す言葉
  b. 次の単語の先頭音(子音vs母音)次第でスペル発音が変化する
  c. 冠詞は日本語にはない(≒和訳が難しい)
1. 不定冠詞a/an(スペルが2種類)
  a. 可算名詞単数形の前に置く冠詞(原則として必須、他の語で代替も可能)
   言い換えると、可算名詞複数形や不可算名詞とは一緒に使えない
  b. 次の単語の先頭音が子音・半母音(y/w)ならa、母音ならan、とスペル変化
2. 定冠詞the(発音が2種類)
  a. 可算(単数形・複数形)・不可算名詞の前に置く冠詞(非必須、他で代替も可能)
   言い換えると、原則どの名詞とも一緒に使える
  b. 次の単語の先頭音が子音・半母音(y/w)なら[ðə]、母音なら[ði]、と発音変化
3. 無冠詞冠詞なし(ただの空白"space")
  a. 不可算名詞・可算名詞複数形の前に冠詞がない状態を指す呼称
   不可算名詞・可算名詞複数形の2つを可算名詞単数形と区別する目印
  b. ただの空白なので、スペル変化や発音変化とは無縁

❷冠詞の基本用法と応用・慣用表現

1. 不定冠詞a/an:"one"由来(「1つのモノ(可算)」が基本)
  a. 基本用法:可算名詞単数形の前で使い、「1つ/1回」の意味を表す(≒one)
   初出(未知・未紹介):他に同類が存在し特定困難、定冠詞「既出」との対比
   不特定/任意:定冠詞「特定」との対比(任意は「総称表現」に繋がる)
  b. 応用・慣用表現:曖昧だが、ある「1つ」の決まった状態を表す
  (1)~につき/~あたり:単位を表す名詞の前で使われる(≒per)
  (2)一定の/いくらかの:不可算名詞の前で使える場合も(≒some)
  (3)同じ(≒the same):Birds of a feather flock together. が定番(古い表現)
  (4)総称表現1(≒any):「❸冠詞の応用1」で一括して整理
  c. 英語史の定説one[ワン]→an[アン]→a[]と変化(もともと「1つ」を意味)
   数字"1"の発音が[アン]なのは、実は欧州言語で共通に見られる現象
    独語:eins, zwei, drei [アイン(ス)・ツヴァイ・ドライ]
    仏語:un, deux, trois [アン・ドゥ・トロワ]
2. 定冠詞the:語源はthatと共通(もとは指示語由来が基本)
  a. 基本用法:話し手と聞き手に分かる「特定のモノ・こと・人」(要は何でも)
   既出(既知・紹介済):同類がある中で特定可能、不定冠詞「初出」との対比
   特定:不定冠詞「 不特定/任意」との対比
  (1)状況・文脈(既知・既出の情報)から特定可能
  (2)最上級、形容詞(句・節)を含む修飾語で限定され特定可能
  (3)固有名詞はこの世に1つしかないので特定可能(「❹冠詞の応用2」で整理)
  b. 応用・慣用表現
  (1)他の単位と対比:単位を表す名詞の前に置いて「~を単位として」
  (2)人の身体の一部:接触を意味する動詞と一緒に使われる場合が多い
  (3)楽器・発明品などを含む道具
  (4)the+形容詞(国名):「形容詞の特徴を共有する人の集団(~国人)」を表す
    例:the young, the old, the Japanese/Spanish(国名は不可算でもある)
  (5)the+形容詞:「形容詞の特徴を持つ抽象的・具体的なモノ」を表す
    例:the beautiful, the new, the old
  (6)総称表現2:「❸冠詞の応用1」で一括して再整理
  c. 英語史の定説:一つの共通の語源単語からthattheの2つに枝分かれ
3. 無冠詞(冠詞なし):可算名詞単数形でないことを示す(a/anとの対比が基本)
  a. 基本用法:不可算のモノ・概念や、可算の複数のモノ・概念を表す
   初出(未知・未紹介):特定困難、定冠詞「既出」との対比(不定冠詞と類似の用法)
   不特定/任意:定冠詞「特定」との対比(任意は「総称表現」に繋がる)
  b. 応用・慣用表現:多くは可算名詞(単数形)としても使われる単語群なのが鍵
  (1)称号・肩書・官職・家族関係:呼びかけや補語になる場合など
  (2)食事・スポーツ・ゲームの名:単に不可算名詞で説明可能な場合も
  (3)その他の慣用句:冠詞の省略として「❸冠詞の応用1」で整理
  (4)総称表現3(≒any):「❸冠詞の応用1」で一括して整理
  c. 英語史の定説:古英語期に冠詞は未確立(昔は定冠詞も不定冠詞も存在せず)
  d. 学術的な視点:無冠詞も冠詞の一種とする見方も(ゼロ冠詞:zero article)

これだけ三者三様に多様性があるので、全体像を理解するのは簡単ではありません。時間をかけて、徐々に理解を深めていきましょう。

中盤部分の記事の内容
 ❸冠詞の応用1
 ❹冠詞の応用2
後半部分の記事の内容(予定)
 ❺冠詞の位置(語順)に関する注意
 ❻限定詞

英語史については、慶應大学の堀田隆一先生の『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』を参考にさせていただきました。以下のリンクから「hellog〜英語史ブログ」が無料で読めますので、是非ご一読ください。

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