【《物理的に考える》人を動かす方法:状況で人を操る】
心理学者クルト・レヴィン氏は、物理学であるような物を動かす「力の関係」が、人の心にも当てはまると考えていた
※参考文献
journals.sagepub.com/doi/abs/10.117…
そしてレヴィン氏は
B=f(P,E)
つまり
[行動=人と状況(環境)の作用]
という有名な方程式を考案した
人を抑圧する力は、物理の[摩擦]のようなもので行動を妨げる
摩擦自体は物質的な側面で多く関わるものだが、経済学でも度々登場する
経済学者は、供給者と顧客のあいだで時間や労力やコストに関して生じる摩擦は、取引の遅延や生産の非効率に繋がる
レヴィン氏はそうした力が作用する場を[フォースフィールド]と呼び、この原理を使って人行動を変えるタイミングを説明してくれた
これは人を抑制するだけでなく
“摩擦を減らして人の行動を促進する力”することも可能である
この“促進”は多くの人の生活にも取り入れられていて、摩擦を減らすことで自分の理想の生活を作っている
その一つが、給料が入ったら勝手に預金口座に自動振替されるシステム
物理的また精神的な摩擦がない分、ラクに貯金が可能となる
【ご一緒にでポテトはいかがですか?】
ファストフードから保険販売まで
この手の売り文句(サジェスト)は多い
だがたったこの一言でも、人の摩擦は極端に下げられる
昔マクドナルドでMGをやっていた時に、このサジェストをやっていたが、少なくとも10回に1回は買ってくれる
(※そこに爽やかさ(誠実性)をプラスしたら、老若男女関係なく3回に1回ぐらいまで成功率が上がった)
【[近さ]も人の行動を左右する】
状況が、人の行動の推進力と抑圧力になる話しをしてきたが
物理的な距離もかなり大きな影響を与える
※参考文献2
この研究では、被験者を控え室に待たせ、机にある食べ物をどれだけ食べるか?というもの
この研究により遠くにある食べ物は、あまり食べず、近くにある食べ物はより多く食べる事が確認された
「そりゃそうだろ!」
と思うかもしれないが、面白いのが
いくら自由に食べても良いとはいえ
“自分が食べたい物が遠くにあると、それだけで食べる量が極端に減っている”という点
つまり
馬鹿にされそうなほど単純な行為だが、ダイエットや無駄遣いなど悪癖改善に使える簡易テクニックとも言える
詳しく研究内容を見ていくと…
研究者が被験者を控え室に残す時に、「ちょっとアンケート用紙を取ってきますね。そうそう、そこにある食べ物は、あなたのために用意したものですから」と言って出ていく
そこにはボールが2つあり
一つは[バター味のポップコーン]
もう一つは[スライスしたリンゴ]
被験者は6分間その場で待たされる
ここで重要なのが
2つのボールとの距離
リンゴが近くにある(30cm)とリンゴを多く食べ、数歩先に置いてあるポップコーンをあまり食べなかった
逆にポップコーンが近いとポップコーンをより多く食べ、リンゴをあまり食べなかった
事前調査で、多くの人がリンゴよりポップコーンを食べたがっていたのは分かっていたが…
本当にポップコーンが食べたいのなら、たった数歩歩いて食べればいい話である
自分が食べたい物すら変化させてしまう、[距離の摩擦]はとてつもないパワーを持っている
【食べさせたいモノを取らせるビュッフェ:距離の摩擦パワー】
食べ放題やビュッフェ形式のレストランなど、やはり経営者的には赤字になりやすい食材は存在する
広告としてそれらを目立たせるのは良いが、
“野菜とお肉”を比べると原価の違いから、野菜を多く取ってほしいと願ってしまうものである
そのための作戦がこのメタ分析からわかる
※参考文献3
academic.oup.com/eurpub/article…
先程の
ポップコーンとリンゴスライスのように、距離による人間の行動摩擦が思っている以上に効果がある
つまり
《野菜など原価の安いモノ》
取りやすい場所に配置
→出入り口や通り道など
《沢山食べてほしくない原価の高いモノ》
取りにくい場合に配置
→出入り口や通路から一番遠い所
階段があるなら階段を登らないといけないようにさせる
時間限定に出来るなら最後に提供するのもありである
次は、人が買い物で何を買いやすいか、食品選択における体系的レビューの研究を紹介
※参考文献4
【目線の距離にも摩擦が生じる】
マーケティングを習った人なら誰でも一度は聞いたことがある内容だが
人は“目線の高さのモノを一番よく買う”ことがわかっている
逆に、かがんだり背伸びをして取る商品に億劫になる傾向がある
また
生活で多くの人が、購入する食品(肉や牛乳など)は店の奥の方に設置され
多くの人に見てもらいたいキャンペーン商品については、入り口や必ず通る通路の両端作ったりする
逆に
《誠意ある信頼できる店を選ぶなら》
・入り口に肉や牛乳や卵
・最安値の商品が目線の高さ
・レジの近くにお菓子ではなく健康面を気遣う果物類
と言えるだろう
しかし、このルールは都市部以外でしか通用しない
※参考文献4
この研究によると都市部に暮らす人は、果物や野菜を多く食べる傾向があり
それにより都市部の青果を多く棚に並べるスーパーでは、レジ横に果物や野菜を置くことがあるそうだ
※参考文献5