【正しい褒め方ルール】
心理学者ジェニファー・ヘンダーロング氏(2002年)の研究
称賛の効果について複数の研究をレビューし、良い成果を持たせるための5つのルールを定義してくれた
①称賛の言葉は本心であること
②相手がコントロールできる行為を重視
③人と比較しない
④自立性の感覚を損ねない
⑤達成可能な基準と期待を伝える
一つづつ説明していくと…
①称賛の言葉は本心であること
本心は高確率で相手に伝わる
そのため“オーバーな表現”や逆に“一般的な褒め言葉”を避ける
酷いときは、その褒め言葉を皮肉と捉えられる事がある
誠実さを出すには、身振りと言葉が矛盾しないようにしなければならない
また褒め言葉はむやみに使わず、本当に称賛したいときのみ伝える
悪い例:今年は実にいい働きぶりだった。君は理想の社員だ。
良い例:例の件での、君の対応は本当に感心した。あれは複雑な案件だったけれど、実に上手く対処してくれた。今年の君の頑張りには感謝する。期待以上の働きを見せてくれたよ。
となる
②相手がコントロールできる行為を重視
「あなたは本当に賢いわ!!」などと、生得的な能力や資質を褒めると、もし次回失敗したときに、「本当は能力がなかったんだ…」と落ち込んでしまう
そのため[努力、忍耐力、アプローチ、心構え]などを褒める事で、次回困難なことがあっても、諦めづらくなる
キャロル・ドゥエック氏の研究では
小学5年生に比較的簡単なテストをして、「君は頭がいいね!」と「一生懸命頑張ったね!」とフィードバックを言うグループにわけた
2回目のテストでは、正答率が10%以下のかなり難しい問題を出した
続いて
3回目のテストをすると、2グループに大きな差が生まれた
1回目のテストで[能力を褒めた]グループは点数を下げた
ところが、1回目のテストで[努力を褒めた]グループは優位に[能力を褒めた]グループよりも
高い成績を取った
ここで大切なのは、“多くのヒトは努力よりも能力を褒められたほうが嬉しい”ということ
生物学的にも、遺伝子が優れているアピールのが生き残っていくため、その本能は否定しない
しかし
“目標達成に本当に大切なのは、才能を褒められて、気分が良くなることではなく、適切なアプローチで努力を続けること”を意識して褒めなければいけない
③人と比較しない
他人と比較されると、人は「これは生まれ持った能力で比較されている」と考え
技能や能力を高めようとするのではなく、“良い結果(だけ)を評価してもらいたい!!”と、強く願ってしまう
これは、他人との比較に基づいた褒め言葉は、相手の自意識を強くさせ、能力の誇示に注目させてしまうからである
そのため、将来的な成長が阻害されてしまう可能性が高まる
では何を比較して褒めればいいのか?
それは[自分]である
褒める時は、相手が成長した点に注意を向け、本人の現状と過去の実績を比べるといい
例えば
筋トレなら、“腕立て伏せできる回数が増えた”など、“胸筋が◯◯センチ大きくなった”などがある
初めは回数もなかなか増えないし、胸筋もすぐには大きくならない
そういった時は、“もう何日連続で筋トレできている!”や“腕立て伏せは、過去の腕立て伏せ回数を合計すると1万回もやっている”などと
勝手に増えていく事自体を褒めるのもいい
これは自身の筋トレ習慣化にもかなり効果的で、僕も筋トレを習慣化するのにコレを使った
④自立性の感覚を損ねない
結果に対して、報酬を設定したり、プレッシャーをかけたりすると、管理されている感覚になる
これは、過去の投稿からも分かるように、行動そのものから得られる楽しみや没頭の感覚を損なわせる
悪い例:このまま数学でいい点を取り続けたら本当にすごいぞ!
良い例:素晴らしい!あなたが数学をとても楽しんでいるのがわかって嬉しい!
となる
⑤達成可能な基準と期待を与える
勉強のできる子供に「将来はお医者さんか弁護士さんだね!」や、運動が得意な子供に「未来のオリンピック選手だね!」などの褒め言葉はよく聞くが…
これを繰り返していくと子供は「自分はそうなるしか道がない…」と考えてしまう
ハードルを高く設定するのはとても大切だが、現実的である方がより大切になってくる
実際、学校で頭のいい子全員が、医師や弁護士の国試で合格している訳では無い
運動神経が良くても、オリンピックに行けない人も多く存在する
効果的な目標と褒め言葉は「いい大学にいけるね!」や「将来多くの人の役に立てそうだね!」「大学でも運動部で活躍出来そうだね!」などと、幅を利かせた言葉にした方がいい
そして褒め方で一番大切になってくるのは
その目標のためには“たゆまぬ努力が必要だよ”と付け加えるということ
※参考文献
P254