【2022年9・10月号】映画感想メモ(モテキ、新しい靴を買わなくちゃ)
※ 本記事の内容は、あらすじの解説やネタバレを目的としたものではありませんが、感想を述べるため、一部のシーンについて言及することがあります。映画をまだご覧になっていない方は、予めご了承ください。
【1】 轢き逃げ 最高の最悪な日(2019)
1つの事件を加害者の視点で描く珍しい作品。監督・脚本を俳優の水谷豊さんが務めています。長年ドラマ『相棒』やその他刑事作品を通して犯罪事件というテーマと向き合う中で、事件は複雑であり、多面的であることを感じ、その想いを本作品に投影したのではないか、というのが僕の仮説です。
【2】 モテキ(2011)
数年ぶりに鑑賞。当時はまだ高校生で、今は社会人になり、価値観の変遷がある中で、当時とは全く異なる感想を抱きました。サブカル要素や豪華な俳優陣が目立つけど、作品中の各場面が妙にリアル。僕自身実際に経験があるわけではないけれど、胸が何だかキュッとなる感覚がしました。筆者、くるりさんの『東京』にハマる。
【3】 幸福の条件(1993)
本作品を観て、僕はアドラー心理学を思い出さずにはいられません。「愛」か「お金か」の二択についてここで言及するつもりはないけれど、問題はその後。人間は、一度パートナーについて何か疑い始めると、その後の言動全てがその疑いに該当するように感じてしまう。そして、その疑いは人間関係に悪影響を与えます。ラストシーンについて、僕は正直一連の流れを回収できているとは思えません。
【4】 新しい靴を買わなくちゃ(2012)
独自であり、圧倒的なオーラを持つ中山美穂さんとパリの街の情景がよく合います。最初パリで会うシーンから、ラストまで2人の距離の変化が自然で、その距離感に一部始終「誠実さ」を感じました。敢えて妹スズメの恋愛に有名な俳優陣を起用したのは、その関係性にも注目して欲しいからであり、センとアオイの関係性と比較をして欲しいからではないかと思います。
【5】 シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(2020)
何度目の鑑賞か。エヴァは観る度に違う感想を持つし、台詞の捉え方は自分の中で毎年変化していきます。シリーズの各シナリオに魅力がありますが、本作品で特に良かったと僕が思うのが、碇ゲンドウの心の声を初めて知ることができたこと。特に、知識とピアノについて語るシーンは、どこか自分と繋がるところがあり、非常に印象に残っています。
【6】 花束みたいな恋をした(2021)
最近僕がよく思うことは、恋人、配偶者はあくまで「他者」であること。仮に結婚して、何十年もの時間を共にする時、人間が変化していくことはごく自然なことです。一方、相互依存的な関係にある時、自分=相手、相手=自分になるので、相手が変化していくことは、まるで自分が変わっていくような感覚になり、それを許すことができないのではないでしょうか。なので、勿論パートナーとして一緒に人生を過ごすこと、お互いを愛し合うことは大切であると同時に、あくまで恋人や配偶者は「他者」であることを理解することが、大切な人を本当の意味で受容し、許すことに繋がるのではないかと思います。または、単に「変化を受容し、楽しむことのできる関係性」と言うことができるかもしれません。
【7】 光
僕は、監督はこの作品で「映画とは何か」をサブテーマにしているのではないかと思いました。また、これはあくまで僕の見立てですが、意見会に登場する眼鏡の女性の発言が、監督の伝えたいことなのではないかと思うのです。それは、彼女にスポットを当てる時間の長さだったり、彼女の言葉を1つずつ丁寧に映し出す映像表現から感じました。
その他、今月の視聴作品
9月~10月は、資格勉強に追われていました。
資格の勉強自体は好きなのですが、仕事が始まった中で両立の概念を忘れており、常に時間に追われる感覚があり、精神的にもかなり疲れる2ヶ月になりました。
時間に追われると、感性が失われていく感覚がするし、何事においても余白の必要性を感じました。
映画を通して、色々な人の視界を疑似体験することがやっぱり好き。
この冬にはついにアバターの新作も出るし、楽しみです。
*2022年8月号の記事(チェックお願いします!)
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