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これからのデータサイエンス、これからの探究学習

今回は、ドゥラゴ 英理花先生(聖徳学園中学・高等学校 校長補佐/データサイエンス部長)にインタビューしました!


いつでも常にそこにある存在

 現在スクーミースポットは制限をつけず、いつでも自由に使える状態で教室に置いてあります。何か疑問に思ったことやつくりたいものができた時に、常にそこにあることですぐに取り組めることがスクーミースポットの1番大きな魅力だと感じています。さらに、教室に置いてあることによって、さまざまな教科の授業の中で教科横断的に活用できることにつながると思います。
 知識の習得に重きを置いているプログラミング教材が多い中で、スクーミーボードは価値を生み出すことが可能であると感じています。 スクーミーボードでは自分で簡単にデータが取れるため、データサイエンスの学習をより深く学ぶことができるツールだと思います。拡張できるセンサーの種類がたくさんあり多種多様な計測にも強いため、探究型の学習にも合致していると言えるでしょう。加えて、子どもたち自身がスクーミーボートのブロックプログラミングを活用し、LINEを動かして通知が来る機能を使用することができます。これも子どもたちの興味を惹く魅力だと思いますね。

自分ごとと捉え、課題解決を目指す

 今後はVRを活用した課題解決学習をしてみようと考えています。例えば、災害をテーマにする場合、どうしても遠いところの話のように感じてしまい、その瞬間だけで忘れてしまうことが多いと思います。そうではなくて、社会課題を自分ごととして捉え自分たちには何ができるのかを考えることを重要視することで、何が新しい価値として必要であるかが明確になりプレゼンにもより筋が通ると思います。

トライ&エラーを繰り返す

 データサイエンスの授業において、ただ単に数字やデータを扱うだけではなく、データから自身の設定した社会課題に対する意思決定をし、課題を解決することが大切だと思います。課題解決プロセスを、PPDAC(統計学的課題解決方法)サイクルと言います。最初から完璧にできるものはなくて、試行錯誤をしてトライ&エラーを繰り返すPPDACサイクルの仕組みがデータサイエンスの学びです。生徒自身がPPDACサイクルを短いスパンで繰り返して経験するためにスクーミーボードは有効だと思います。データサイエンスの最終目標は、何かを形にして新しい価値を生み出すことであるため、さまざまなプロトタイプを試すことができるのはスクーミーボードの取り入れやすさであると思います。
 課題を解決するためには、教科横断的な学習が重要であると考えます。例えば、ある課題を解決するためには文章の読解力が必要であると同時に、データの解析力やその結果を組み立てていく力も必要であったりと、やはり国語や数学、科学、データサイエンスなど教科の括りを外して学ぶことが大切であると思います。

自分で学び振り返り向上させる

 これまでの授業は、教員からの一方通行でした。その結果、「自分にはこれができる」ではなく、「授業で言われたことはできる」と自律した学習ができずに不安を感じている子が多いと感じています。これからの社会では、自分で学んで、自分で振り返って、自分で向上させていくことが必要です。その流れをフォローできるのが探究学習であり、教員はファシリテーターとしてがその環境を用意していかなければならないと考えています。
 探究学習の難しさは、評価だと思います。今までは生徒が行った成果物はテストばかりであり、テストの点数では基本的に知識しか測ることができませんでした。しかし、探究学習では学習における過程も大切です。成果物やその計画、実行、分析などの過程全てを評価することが今後必要になると思います。現在はルーブリック(注1)を使用しており、探究型の学習には加点方式が一番適していると考えます。加点方式をするにしても生徒たち自身にどこを評価の観点としてみていくかを事前に伝えておくことが重要です。評価は生徒のものであり、「自分がどんなところができていて、どこをもうちょっと頑張れば良いか」を分かりやすくするとより、生徒の探究力が高まっていくと思います。

(注1)ルーブリック
評価観点と評価基準となる達成度の2軸からなる表を用いて、学習の達成度を測定する評価方法のこと。

プロフィール
ドゥラゴ 英理花 氏

聖徳学園中学・高等学校 校長補佐/データサイエンス部長
International Baccalaureate Administrator
Women in Data Science Tokyo アンバサダー

スクーミースポットの設置に関する実証実験実施中
https://event.schoomy.com/trial-schoomyspot01/

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